「ごめん。さんの気持ちは嬉しいんだけど、俺青島さんが好きなんだ」
そう言って洞口くんに振られたのは、昨日の事。





振られた日の翌日




「はぁ〜」

食堂に私の冴えない声が響く。
何回目ともつかない溜息が無意識に漏れる。

「別に、知ってたけどね。ゆっこの事が好きなくらい・・・」

なのに言ってしまった。
どうしても気持ちを抑えられなかったから。
結果は、見事に惨敗。

「・・・落ち込むくらいなら言わなきゃよかった」

はぁ、と溜息が零れる。

「おい、?どうしたんだ?」
「波多野くん」

椅子を引き、私の隣に座る。

「なんだ、また洞口がらみか?」
「なんだとは何よ〜」
「あははッ、悪い悪い」

唯一、私が洞口くんの事を好きだった事を知ってる人。
よく相談に乗ってもらっていた。
それも、昨日までだけど。

「はぁ〜・・・」

私の溜息を聞いて、波多野くんが顔を覗きこむ。

「おい、本当にどうしたんだ?」
「・・・・・・・・たの」
「え?」
「洞口くんにね、振られたの」
「な・・っ」

彼の一瞬驚いた顔。
私は、苦笑い。

「好きな子がいるんだって。だからごめんって・・・」
「・・・・・・」
「ごめん、こんな事言われても困るだけだよね」

「本当に、ごめん」

下を向いた途端、涙が零れた。
昨日で枯れたと思っていた涙。
赤い目を悟られないように、濃くした化粧。
今泣いたら、すべてに意味がなくなる。

「別に、が謝ることじゃないだろ。顔上げろよ」
「・・・・・」

いつまでも顔を上げない私に、波多野くんが業を煮やした。

「おい、っ」
「ッ・・・・!!」
「えッ・・・・」

頬を伝う涙を見られた。
振られた事を知られただけでも、恥ずかしかったのに。
それなのに、泣き顔まで見られた。

「あ・・・悪いッ」
「・・・・・」
「えっと、その・・・大丈夫か?」

こくんと一つだけ頷く。
今声を出したら、間違いなく喚くと思ったから。

「・・・・

さっきまでとは違い、真剣な波多野くんの声。

「こんな時に言うのは、卑怯だと思う。けど、俺は、お前が好きだ」
「え・・・ッ?」
「悪い。今言っても、お前を混乱させるだけだって分かってる」
「は、波多野くん」
「けど、俺はお前が好きだ」

あまりの驚きに、涙が止まる。
真っ直ぐに私を見る瞳。
その瞳に、心臓が音を上げる。

「い、いつから、私の事・・・」
が、洞口を好きになった頃からかな」

たぶんだけどなと、苦笑しながら話す。
それを聞いて、さらに私の顔は歪んだ。

「ごめん!波多野くん」
「へ?こ、告白の返事じゃない・・・よな?」
「違う。そうじゃなくて、私知らなかったとは言え、ずっと相談して・・・」
「あぁ、それの事か。別に俺は気にしてないぜ」
「でもッ」
「大体、知らなかっただろ。仕方ないって」

ケラケラ笑っているけど、本当は辛かったと思う。
私も、つい最近そんな経験をしたから。

「本当に、ごめんなさい」
「そんなに気にすんなって」
「うん」

一応は頷いたものの、まだ納得できない。

「そんなに気になるなら、俺の事ちゃんと見てくれるか?」
「え?」
「今は無理かもしれない。けど落ち着いたらちゃんと考えてくれるか?」
「そ、それは、もちろん」
「なら、それでいいって」

ニカッと笑う波多野くんに、私も笑みが零れる。

「それじゃ、あんま泣きすぎんなよ。昨日も泣いたんだろ」

そう言って、食堂から出て行く波多野くん。
化粧をしても、バレバレみたいで。

私を見てくれている

その事がやけに嬉しかった。
















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