闇の中での出会い








あの人と、浜岡猛選手と出会ったのは私が高3の時だった。
出会ったと言うよりは、私が見ただけのものだけれど。
それでも、私にとってはすごく衝撃的だった。
毎日、毎回、浜岡選手の出るレースは欠かさず見てきた。

そして、いつのまにか見るだけじゃ物足りなくなって・・・・・









「澄〜ッ、本当に行くの?」
「何言ってるの、行くに決まってるでしょう?」
「ねぇ、ありさ〜止めてよ〜!」
「無理よ。それにいつまでもこのままだと、単位がヤバイのよ」

腕を澄に引っ張られ、後ろではありさがお菓子を食べならが歩いている。

「で、でも、やっぱりいいよ〜ッ」
「それでも、は好きなんでしょう?」
「・・・・・うん」
「それなら、やっぱり行くべきよ。何も今告白しろって言ってるじゃないんだから」
「こ、告白!?」

ぎゃーぎゃーと騒いでいる内に、ポツポツと選手が見えてきて。
私の心臓は、これ以上ないってくらいうるさくて。

「あ、憲ちゃんッ」
「澄ッ!?それにありさとも!お前らこんな時間に何やってるんだ?」
「ちょっとね」
「おい、波多野」

ドキッと、自分が呼ばれた訳じゃないのに心臓が早鐘を打つ。

「あ、浜岡さん」
「なんだ、お前のファンかよ」
「いや〜、ファンって言うか・・・・」

憲ちゃんが苦笑しながら、話している。
その間、私はずっと下を向きながら。
恥ずかしくて、顔すら見れなかった。

「あの〜、浜岡選手ですか?」
「あ、はい。そうだけど?」
「よかった。あのこの子、浜岡選手のファンなんです」
「「え!?」」

なんて、澄が言うから。私は覚悟を決めなくてはならなかった。

「あの、は・・初めまして。って言います。高校の時から浜岡選手のファンでした」

顔を上げて話すけど、たぶん顔は真っ赤で。
こんな見っとも無い話し方をしたかったわけじゃないのに・・・

「あ、ありがとう」
「これからも応援しに来ますから、ケガとかしないように頑張ってくださいね」
「おう、サンキューな!」

にこッと笑顔で返してくれる。
その笑顔に、ちょっと泣きそうになる。

「なぁ、澄。これって・・なんだ?」
「何って見て分からないの?」
って浜岡さんのファンだったんだ」
「高3の時から好きだったんだって」
「ふ、ふぅん」
「ちょっと悔しそうね、波多野。」
「べ、別にッ」

「そ、それじゃあ、今日はお疲れところ、ありがとうございました」
「あぁ、俺の方こそありがとな」
「ちょっと、失礼」
「あ、ありさッ!?」
「これから波多野と、澄ちゃんの家で飲み会があるんだけど、浜岡選手もどう?」
「お、飲み会か〜ッ!それじゃぁ俺も参加させてもらうぜ」

嬉しそうに答える浜岡選手に、少し収まりかけてたドキドキがまた戻ってくる。

「もちろん、ちゃんも来るわよね?」
「え、わ、私も?」
「おう、さんだっけ?お前も来い!」
「えぇッ!?」

ビシッと指で指され、しどろもどろになる。
もちろん、行くつもりなんてなかった。
それでも、大好きな人に来いなんて言われたら、行くしかない。

「わ、分かりました。私も行きます」
「よし!」

はぁ〜、これから私の心臓大丈夫かなぁ・・・



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送