ねぇ、今日は何をしよっか?
「おはよう、コンちゃん」
「おはよう」
見た目は幼馴染の一護の姿。
だけど、中にいるのは「かいぞうこんぱく」とやらのコンちゃん。
初めて見た時は、ライオンのぬいぐるみだったっけ。
「今日は、いい天気でよかったね」
「そうだな、ピクニック日和だもんなぁ」
片手にバスケット、もう片手にコンちゃんの手を握りながら、私達は公園に向かった。
「はぁ〜、やっと着いたぜ。俺も腹ペコ・・・」
「私もー。だけど、遠出してきてよかったでしょ?」
「ん、だなっ」
来たのは、森林公園。
一面、緑と花で埋め尽くされた場所。
「私、一度ここに来たかったんだよね〜」
「?、なんで?」
不思議そうな顔をして、コンちゃんが私を見る。
「だって、こんなに気持ちのいい場所なんだよっ」
言いながら、座る為シートを取り出し、広げる。
「ま、確かに気分はいいよなぁ」
「ちょっと、コンちゃんっ!」
どさっと、早速広げたシートに寝そべるコンちゃん。
「へへっ、一番乗り〜」
「もう」
それでも楽しそうな顔を見れば、何も言えなくなる。
「ったく、はいお弁当」
「うぉっ!まじでいいのか!?」
小さなお弁当箱を渡した途端、寝転がっていたコンちゃんが起き上がり、目の色を変えた。
「やった〜!一度は食べてみたかったんだよなぁ」
お弁当箱を持ちながら、異様なまでにはしゃぐ。
ただのお弁当一つでここまで喜んでもらえると、嬉しいもので。
「そんなに喜んでもられると、私も嬉しいよ」
自然と満面の笑顔になる。
「じゃ、いっただきまーす!」
パクパクと食べるコンちゃんを見ながら、次の言葉を待つ。
「うまい!」
「えへへ、よかった」
その言葉を聞いて、私も食べ始める。
「ちゃん、料理の才能あるんじゃねぇのかっ」
うまい、うまいと本当に美味しそうに食べてくれる。
「褒めすぎだよ」
「本当だって」
ニカっと笑う。
きっと本心からの言葉なんだろう。
「ありがとう」
それに応えるべく、私も笑顔で返した。
「はぁ〜、食った食った」
お弁当を片付ける横で、コンちゃんがごろんと寝転がる。
「はぁ、気持ちいいなぁ」
「本当だね」
片付け、私もコンちゃんの横に寝転がる。
目に映るのは、一面の青空。
優しく吹く風に、ゆっくり目を閉じる。
「一護たち、今頃どうしてるかなぁ」
朽木さんを助ける為、ソウルソサエティって場所に行った一護。
「大丈夫、今にきっと朽木さんを連れて帰ってくるよ」
起き上がり、コンちゃんの頭を撫でる。
一護のオレンジ色の髪。
だけど、今はコンちゃんの髪。
頭を撫でていた手が、不意に掴まれる。
「コンちゃん?」
「ちゃん、俺・・・強くなりたい」
「どうして?」
きっと優しいコンちゃんの事だから。
次に聞ける言葉はきっと・・・・
「一護じゃなく、俺が守りたいから」
「大切な人だから・・・俺が守りたい」
真剣な眼差し。
「コンちゃんは強いよ」
私は、ゆったりとした口調で話す。
「けど、俺には死神の力もない・・・体も持たない改造魂魄なんだよっ」
はき捨てるようにコンちゃんが叫ぶ。
きっと、ずっとずっと前から、コンちゃんの心の中にあったのであろう不安。
「俺はっ、ちゃんの事すら守れないんだっ!」
「コンちゃん」
悲痛に叫ぶコンちゃんを、私は抱きしめた。
大丈夫だと、安心させたかったから。
「、ちゃん」
「大丈夫、私はコンちゃんに沢山助けてもらってるよ」
「・・・・・・」
「嘘だと思ってるでしょう?」
クスクス笑いながら、コンちゃんから体を離す。
「一番最初に会った時、私の苦手な犬から助けてくれたよね」
「ちゃん?」
「その次は、道端で躓いてこけそうになった時」
「・・・ちゃん」
「あ!そうそうこの間も!私の家で崩れてきた本から庇ってくれたよね」
本当些細な事かもしれない。
けれど私にとっては、どれも大切な事で。
「コンちゃんが体を張って、私を守ってくれたんだよ?」
「だけどっ」
「小さな事だと思う?けれど護るって、結局はそんな小さな事から始まるんだよ」
「ありがとう、私を護ってくれて」
にっこり笑うと、コンちゃんが俯いた。
「なんで、そんなに・・・・」
ポツリと声が聞こえてきた。
弱い、コンちゃんの声。
「もちろん、コンちゃんが好きだからだよ!」
「ちゃんっ」
ぎゅっと抱き締められる。
「ごめんっ、ありがとなっ」
「だから、もう悲しそうな顔しないでね」
「おう」
最後の声は、くぐもっていてよく聞こえなかったけど。
次に顔を上げた時、きっとコンちゃんは笑ってくれる。
それを期待して、私は背中を優しく撫でた。
強くなりたい
SEO
掲示板
[PR]
爆速!無料ブログ
無料ホームページ開設
無料ライブ放送