届くまで何度でも










「次は・・・・えっと、野菜ですね」
「了解した」

エレンから渡されたメモを見る。
沢山の材料。
よく分からない部品の中に食料品も混ざってる。

「あの、付き合ってくれて、ありがとうございます」
「主の命令だ」
「ジェットさんが付き合ってくれると、とても助かります」
「・・・・・・・」

何を考えているか、私には分からない表情。
私のこの言葉は、彼に届いているのだろうか。



「あ、はい」
「通り過ぎている。店はこの角を曲がった所だ」
「え、あ・・・ごめんなさい」

貴方の事を考えていたら、なんて口が裂けても言えない。






「はい、毎度あり」
「ありがとうございます」

必要なものを買って、袋を受け取る。
両腕にずしっとした重み。

「ええっと・・・・・次は・・・」

メモを見ようと荷物を持ち替えた時。
袋ギリギリに入っていたリンゴが一つ落ちた。

「っと・・・・ジェットさん?」

拾おうと身を屈める前に、大きな影が遮った。
すっと手を差し出される。

「あ、リンゴありがとうございます」
「貸せ」
「はい?」
「主の命だ」

そう言って荷物を易々と持ってしまう。
お陰で体は軽くなったのだけれど・・・

「ジェットさん、重くないですか?」
「問題ない」
「ありがとうございます」
「・・・・相変わらず変な女だ。俺が造られた存在だという事実は、お前も知っているはずだ」
「はい、もちろん」
「ならば、何故礼を言う」
「それは、助けてもらったからです」

彼の瞳を見つめて告げる。
少しは、私の気持ちが伝わる事を祈りながら。

「・・・・・・やはり理解不能だ」

言い残して、先を歩く。
少し淋しいけれど、今はこれが精一杯。
だけど、いつか私の声が彼の胸に届くように。

「ジェットさん、次はこの部品だそうです」
「了解した」

だから、私は今日も彼と共に歩む。
たとえ、造られた存在だとしても・・・






















メモ
ヤバイ、楽しいかも!

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