手のひらの温かさ







「ごめんね・・・大ちゃん」

痛い喉を震わせて、言葉を紡ぎだす。

「何回目だよ。さっきから」
「だって、部活・・・」
「終わった事をグチグチ言ってんじゃねぇ」

久しぶりに私は熱を出した。
疲れが溜まってたんだろうって陽一にお兄ちゃんは言ってたっけ。
でも、その陽一お兄ちゃんも今日は居ない。
大学での用事らしく帰ってくるのは、明日の朝。

「はぁー・・・熱い・・・」
「当たり前だ」

そっと私の頭を撫でてくれる大ちゃん。

「大ちゃん・・・ごめんね」
「だから、もういいって言ってんだろっ?」

陽一お兄ちゃんの帰宅は明日。
その上、広海お兄ちゃんも今日の帰りは遅い。
その為に、大ちゃんは部活を休んで帰ってきた。

「でも・・・今大切な時期なのに」
「だからって、一人を家においとく訳にはいかねぇだろ」

確かに弱ってる時に、家に一人はかなり辛い。
だけど、そのせいで大ちゃんに迷惑をかけたのは言うまでもない事実で。

「ごめん」
「だからッ」
「うん、でもありがとう。大ちゃんが帰って来てくれて嬉しかった」
「・・・初めからそう言え」
「えへへ、もしかして照れてる?」
、お前・・・・」

ギッと睨んでくる大ちゃん。
照れ隠しだって分かってる私には、あまり効果はない。

「ごめん、ごめん。つい・・・」
「最近ヨーイチに似てきたんじゃねぇの?俺は戻るからな」
「え、大ちゃん、戻っちゃうの?」

とっさに私は、飛び起きた。
と言っても、体が少し浮いたぐらいだったが。

「俺がここに居ても仕方ねぇだろ」
「そう・・・だよね」

苦笑交じりの声。
これ以上、大ちゃんの迷惑にはなりたくない。
でも、

「大ちゃん」
「あぁ?何?」
「私が寝るまで居てくれない?」
「はぁ?」

立ち上がった大ちゃんが、私を見る。
そして溜息をついて

「ったく・・・・さっさと寝ろ」

憎まれ口を叩きながら、でもまたイスに座りなおして。

「ありがとう・・・大ちゃん」

にこりと笑って、私は目を閉じる。
頭に大ちゃんの手の暖かさを感じながら。





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