戦うこと







「シンくん?」

さん」

「聞いたよ。すごいね、デスティにーのパイロットなんて」

「・・・・そうですね」

「シンくん?」


ぎゅっと拳を強く握る。
いつもは生意気な彼が、今日は少し違う。


さんは、何のために戦うんですか?」

「え?私?」

「聞きたいんです」

「うーん、参考になるか分からないけど」

「構いませんから」

「・・・自分の為と、私を支えてくれた人のため」


目の前に立つデスティニーを見上げて思い出す。
あの頃、弱かった私を支えてくれた人。
もう、この世にはいないけど。


「・・・好きだったんですか?その人の事」

「うん、大好きだったよ」

「・・・・・・」

「シンくんは?何のために戦うの?」

「・・・俺は・・」


一瞬悲しそうに歪んだ顔。
伏せられる瞳。


「あー、待って!」

さん?」

「それを聞くのは、もう少し先ね」

「え?」

「待ってるから、シンくんの答えがでるの」

さん」

「その時教えて?」

「はいっ」


伏せられた瞳が、まっすぐ私を見る。
強く赤い瞳。


「それじゃ、私は行くね」

「あ!さんっ」


ぎゅっと掴まれる手首
振り返り、彼を見る。


「あ、あの・・・・ありがとうございます」

「どういたしまして」



瞳の色よりも赤くなった顔に、私はクスリと笑みを零した。






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