ただいま






空港からタクシーで家に向かう。
タクシーの窓から見える景色が、段々見慣れたものになる。
少しずつ高鳴る鼓動。

「ありがとうございます」

お礼とお金を渡して降りる。
目の前には1年ぶりの我が家。
大きく深呼吸してチャイムを鳴らす。

『はい』

聞こえてきたのは、腰まで響くような通る声。
その声に、少し目元が緩む。

「さぁ、誰でしょう」
っ?ちょっと待ってろ。今開けるから』

ガチャリと音がして声が途切れる。
さぁ、どんな顔で出てきてくれるのだろう。
楽しみと、緊張とで胸を押さえる。


「陽一お兄ちゃん」
「ったく、驚かせすぎだ」
「ごめんなさーい」

開いたドアから呆れたお兄ちゃんの顔。
ポンと頭に乗せられる手。
昔と何も変わらない暖かさ。

「おかえり、

ワシャワシャと頭を撫でる。
お陰でしっかりセットした髪はぐしゃぐしゃ。
けど、会話も、温もりもとても懐かしくて。

「ただいまぁ・・・」

震える声でそれだけ言って。
抱きついた。

「泣き虫な所は変わってないんだな」

少し呆れた声とは裏腹に優しく包み込んでくれる腕。
ぎゅっと抱きつくとお兄ちゃんの匂いがして。
更に涙が溢れた。

「広海も大地も待ってるぞ」
「うん」

顔を上げて、潤んだ瞳で見上げると満面の笑顔。
それを見て私は自分の家に入った。





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