好きな人は伊政宗








ぽかぽかな陽気
お日様の匂いをいっぱい浴びた洗濯物
ついつい、私は寝てしまったのです。

、お前ドコで寝てるんだよッ」
「ん〜・・・・」
「ん〜じゃねぇ!さっさと、どけッ」
「・・・・・」
「・・・いい根性してるじゃねぇか」

今日の洗濯当番は、広海お兄ちゃん。
広海お兄ちゃんが洗濯物を取り込んでる最中に私は寝てしまった。
床や、布団の上じゃない。
洗濯物の上に。

ーッ、いい加減に起きろッ!」
「きゃッ!」

ガバッと私が今まで上で寝ていた洗濯物たちは、お兄ちゃんによって引っ張り出された。
もちろん、私はその反動で床にぶつかる羽目になったのだが。

「いったぁ〜、何よぅ。折角いい夢見てたのにぃ」
「いい夢じゃねぇッ、俺の邪魔すんな!」
「邪魔したのは広海お兄ちゃんでしょ!?もう少しで憧れの人と両想いになれたのにっ」

私がそう言った途端。
お兄ちゃんの動きが止まった。

「あ、憧れの人?それって・・・」
「お兄ちゃんのバカッ!好きな人に決まってるでしょう!?」
「お、前・・好きな奴いたんだ?」
「いるよ、それぐらい」

見るからに動揺しているお兄ちゃん。
こんなお兄ちゃんを見るのは、久しぶり・・・いや初めてかも。

「なぁ、お前の好きな奴って・・・誰?」
「へ?何で?」
「え、あ、いや・・・ちょっとした好奇心?」

好奇心なんて言いながら、頬が引き攣っているのが丸分かりで。

「ん〜、そんなに聞きたい?」
「まぁ、な」
「それじゃ、教えてあげる。絶対に内緒だからね?」
「お、おう」

私は、一息ついて憧れの人の名前を挙げた。
その名前を挙げた後、広海お兄ちゃんは唖然とした後、盛大に溜息をついた。

「お前、それは好きな奴とは言わねぇよ」
「えぇ!!でも私は好きなんだもんッ」
「現実に生きている奴を探せッ!」
「この時代に好きな人なんか、いないもん!」
「だからって、時代が違いすぎるだろうがっ」

ぎゃーぎゃーと喚き散らしながらの口喧嘩。
これも結構日常茶飯事に起きる事で。

「広海、。何やってるんだ」
「あ、兄貴!ちょっと聞いてくれよ〜」
「陽一お兄ちゃんっ!広海お兄ちゃんがねっ!」
「分かったから、二人ともちょっと落ち着け」

私と広海お兄ちゃんに同時に迫られて、少々困り気味の陽一お兄ちゃん。

「で、何があったんだ?」
「さっき、に好きな奴がいるって話になったんだよ」
「ほう・・・・それは興味深いな」
「陽一お兄ちゃん、ちょっと恐いよ?」
「で?」

ズイッと迫ってくる陽一お兄ちゃんはすごい迫力で。
後ずさりながらも、しっかりした声で答える。

「私の好きな人は、伊達政宗なの」
「・・・・はぁ?」
「やっぱり兄貴もそういう反応だよなッ?」
「なんで?いいじゃない、伊達政宗ッ!独眼竜だよ?!片目ないんだよ?!」

私は、フンッと興奮しながら話す。

「あ、あぁ・・そう、だな。伊達政宗、な」

かなり呆れ気味の陽一お兄ちゃん。

、好きになるなら今を生きてる人にしろ」
「え〜、だってお兄ちゃん達以上に好きになる人なんていないよ」

そういった瞬間のお兄ちゃん達の顔ときたら。
呆けた後、陽一お兄ちゃんは笑顔に、広海お兄ちゃんは少し照れて。

「俺も、お前が大好きだよ」
「ま、それでこそ、だよな」

笑ってくれた。
そして私は、

「あ、いっけない!今日九時からある『独眼竜・政宗』録画しなきゃッ」

いそしそと録画の準備に取り掛かる。
そんな私に、二人の呆れ声が聞こえてきた。

誰がなんと言おうと、私の好きな人は伊達政宗なのッ!



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