不思議な子 でもすごく惹かれる
船上ラブロマン
その日の夜、は青学メンバーと夕食を食べに来ていた。
どこもかしこも、キラキラで。
でも、は何故か違和感を感じていた。
この船に乗ったときから、何か・・・
「それでは、私のチームのメンバーを紹介しましょう」
桜吹雪の声でハッと我に返る。
向かいのテーブルを見て、はギョッとした。
少し前まで一緒に居た彼が、女の子と仲良く話しているのである。
「えー、キャプテン、メンバーの紹介を・・・」
桜吹雪の声が聞こえているのかいないのか、彼は女の子を喋り続けている。
ゴホンという咳払いで、彼は立ち上がりメンバー紹介を始めた。
「俺は越前リョーガ。そこにいる越前リョーマの兄貴でーす!皆さん、いつもリョーマがお世話になっております〜」
「なッ!」
「ん?何だよチビスケ」
「・・・・」
ブスッとした顔のリョーマくんに対し、彼はすごく楽しそうで。
は、そんな彼を視界の端で見ながら、お皿の上の料理を食べていた。
「」
料理も食べ終わり、部屋に帰ろうとした時だった。
急に後ろから声を掛けられた。
「はい?」
振り向くと、彼が楽しそうに笑っていた。
「、10時になったらテニスコートに来い」
「え!?」
「じゃあな」
ヒラヒラと手を振りながら、去っていく。
いきなり現れたかと思ったらすぐにいなくなる。
人の事を振り回すだけ、振り回す。
でも、確実にの中で彼の存在は大きくなっている。
曖昧な気持ちを抱えたままは、皆がいる部屋へと戻った。
部屋へ戻ったら、青学メンバーが怖い顔で話し合いをしていた。
「皆どうしたの?そんなに怖い顔をして」
「あ、先輩!大丈夫ッスか?」
「大丈夫って・・何が?」
「あいつらに何かされなかった?」
「ちょっと、待って!話が全然読めないんだけど。あいつらって・・」
「桜吹雪彦麿のことです。」
そう言って、手塚を初めメンバーが事の次第を話した。
「八百長試合って、そんな事出来るわけないじゃない!」
「えぇ、だから断ってきました。そしたら」
「まさか、脅されたの?」
「その、まさかです」
「最低ね、あの桜吹雪って人」
は、苛立ちを露にして怒った。
そして、その中に彼が居たこともにはショックだった。
『テニス、だよ』
そう言って笑った彼の顔が頭から離れない。
「どうして・・彼まで」
今日会ったばかりなのに、心から頭から離れない。
思えば思うほど、彼の事を気にしている、自分がいる。
ふと、さっきの約束を思い出した。
『10時になったらテニスコートに来い』
気になって時計を見てみると、針は10時5分前を指していた。
は、部屋を出て、テニスコートまで走って向かった。
逸る気持ちを抑えながら・・・
テニスコートに着くと、彼はもう来ていた。
パァン、パァンとリズムよく、ボールを返している。
その姿をじっと見ながら、は考えていた。
テニスに真摯な姿を見せておきながら、どうしてあんな事を言ったのか。
今だ、には分からなかった。
「よぉ、」
ボーッと考え事をしていた所為で、彼が近づいてきたのに気づかなかった。
「リョーガくん」
「・・・何か言いたそうな顔だな」
「どうして・・」
「あ?」
「八百長テニスなんて・・」
下を向きながらポツリと呟いた言葉。
返事はなく、代わりにポンッと頭に何かを乗せられた。
ハッと顔を上げると、少し寂しそうな顔をした彼が見えた。
が何か言う前に、彼はいつもの顔に戻った。
「今日はもう遅い。明日の試合に備えて、も寝るんだな」
「え、でも、何かあって呼んだんじゃないの?」
「じゃあな」
ラケットを肩に担ぎながら、答えを言わず、彼は去っていった。
はしばらく、その場に立ち尽くしていた。
明日が決戦の日
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!
お久しぶりのリョーガくんです!
そして、また映画を見てきましたーvv
えへへ、格好良かったですv
5話ぐらいで完結できると思います。
次回はいよいよテニスの試合です。
上手く、書けるといいですが^^;
圭 05/03/12 (加筆修正:05/11/15)
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