Salut d'Amour









「おはよう、イザーク」
「・・おはよう」


こうやって、二人で朝の挨拶を交わすのは何度目だろう。
初めて一緒に朝を迎えた日、お互いぎこちない挨拶しかしなかったのに。
今では、二人で朝を迎えるのが当たり前になってきて。


「今日の朝ごはんは、オムレツですよー」
「・・・・・昨日もおとついもそうだったな」
「嫌だった?」
「こう続くと飽きる」


イヤ?と聞いているのに飽きるの返事もないだろうと思う。
まぁ、そこがイザークらしさなのだろうけれど。


「じゃ、今から作り直そうか?まだ一人分しか作ってないし」


なぜか複雑そうな顔をして、こちらを見る彼。


「イザーク?」
「いい、食べる」
「けど、飽きたんでしょ?」


別に料理を作るのは、苦にならないからいいのに。
変な所で意地っ張りなんだから。


「じゃ、二人でオムレツ食べようか」
「・・・あぁ」
「なら、私の分作るからちょっと待っててね」


いそいそとキッチンに入る。
その間、イザークはイスに座ってるんだと思ってた。


「おい」
「わぁ!」


まさか後ろにいるなんて、思ってもみなかった。


「なんだよ」


案の定、怪訝そうな顔。


「ごめん、まさか後ろにいるとは思わなくて」


ハハハと笑いながら、卵を手に持つ。



「なに?」
「・・・・・・・悪かった」


私は、目を丸くした。


「え、何が?」


何に対しての謝罪か全く分からず、素っ頓狂な返事を返す。
それを聞いたイザークの目がみるみるつり上がる。


「飽きたなんて言って悪かったなって言ってるんだ!何度も言わせるなこのバカッ!!」


くるりと後ろを向き、ドスドスと足音をたてながら乱暴にイスに座る。
嵐の様なイザークにプッと噴出してしまう。
分かりづらい彼の優しさ。
けれど、誰よりも彼の優しさが一番嬉しい。


「ありがとう、イザーク」
「フンッ」


そして、二人で朝ごはんを食べるべく、私は卵を割った。

















(Salut d'Amour=愛の挨拶/エルガー)






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