最初のキス


「隊長!浮竹隊長!!」
「あぁ、か」
「あぁ、かじゃありませんっ。寝てください」

毎日、毎日懲りもせず同じことの繰り返し。
私も飽きずに同じ言葉を繰り返す。

「いや、今日は気分がよくてな」

ハハハッと笑いながら、伸びをする。

「・・・・それなら、いいんですけど・・・」

私の煮え切らない態度も、いつものことで。
ムスッとしていると、頭に温かい手がのせられて、

「そんなに心配するな。お前を残して逝ったりしないよ」

ニコッと微笑んでくれた。
優しい笑顔。

「・・・・」
「ん?どうした?」

真っ赤な顔を見られたくなくて、下を向いたのに。
顔を覗きこまれた。

「わっ!見ないでくださいよっ」

本当に恥ずかしくて。
プイッとそっぽを向く。

は可愛いな」

フッと笑われ、また頭を撫でる。

「・・・隊長は頭撫でるの、好きですよね」
「嫌か?」
「・・・・嫌じゃないです」

顔を上げ笑顔で言うと、隊長も笑ってくれた。

「ずっと続けばいいのに」

ポツリと本音が零れてしまった。
言うつもりのない、気持ち。
同じ隊に入隊出来ただけで、十分だったのに。



不意に名前を呼ばれる。

「はい」
「俺はこんな体だから、言わないでおこうと思っていた」
「なん、ですか?」

胸が高鳴る。
しちゃいけないと思うのに、期待してしまう。

「どうやら俺は、お前を好きになってしまったらしい」
「・・・らしいって、隊長らしいですね」

あまりにもらしい告白に、思わず笑ってしまう。

「こら、笑うなよ」

珍しく照れた、隊長。

「それで、返事は?」

苦笑しながら問われる。

「私も、隊長がずっと好きでした」
「そうか、ありがとう」

嬉しそうに笑って、ぎゅっと抱きしめられる。

「隊長は暖かいですね」
もな」

苗字ではなく、名前を呼ばれ一気に鼓動が早くなる。

「浮竹、隊長・・・今、名前」

嬉しくて、ドキドキして上手く喋れない。

「別におかしくはないだろう?」
「・・そう、ですけど。心の準備が・・・」

ドギマギしながら言うと、また笑われて。

「これから、ずっとこんな時間を過ごしましょうね」
「あぁ、そうだな」

そして私達は、最初のキスをした。



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送