お楽しみ














ー」
「うわぁッ!!」
「色気のない声」
「クロさん!いつもいつも後ろから驚かさないでください!」

耳元を押さえながら、真っ赤になって叫ぶ。
毎日の様に、後ろから声を掛けてくる彼。

「えー、いいじゃん」
「よくないですッ」
「だって、お前からかうの楽しいし」

ニヤリと笑みを浮かべながら、私を見る。

「私はちっとも楽しくないですッ」
「じゃ、次はお前も楽しませてやるよ」

これ以上ないって程の楽しそうな笑み。
嫌な予感がする。
けれど、

「普通にお願いします・・・・」

こう言ってしまうのは、惚れた弱みで。
話せるだけましと思って、私はため息をついた。






次の日。
今日は珍しくクロさんと会わなかった。

「どうしたんだろう。珍しいなぁ」
ちゃんッ!」
「あれ、アレクさん。どうしたんですか?」
「クロさんが、倒れたってッ!」
「え・・・・・う、嘘ですよね?」
「・・・・・・」

アレクさんが首を横に振り、否定する。
全身の血が、一気に降下する。
ドクドクと心臓が早くなる。

「クロさんはッ!?」
「今、医務室」
「ありがとうございますッ」

ダッと一目散に走った。

「ごめん・・・・ちゃん」

そんなアレクさんの呟きは、私には聞こえなかった。







「クロさんッ!!」
?」
「ドクター、クロさんはッ!?生きてます!?」
「ちょ、っ、まず落ち着け」
「や、クロさんッ!」

カーテンをシャっと勢いよくあける。

「クロ・・・さん?」
、クロウさんなら大丈夫。軽い脳震盪だから」
「あ、よかった・・・」

カクンと膝から力が抜ける。

!?」
「よかった・・・クロさん、倒れたって聞いて・・・・私ッ」
「・・ぅ・・・?」
「クロさん!?」
「何、お前泣いてんの?」
「ぁ・・・クロさんッ、倒れたって聞いて・・・ッ」

ポロポロと零れる涙。
自分が思っていた以上に、私は彼の事が好きだったらしい。
それを、身をもって知らされた。

「クロウさん、気分は」
「大丈夫だ」
「それならよかった。もう少し休んでください」
「あぁ」

シャッとカーテンが引かれ、シュッと音がする。
ドクターが気を利かせて、出て行ってくれたらしい。

「クロさん・・・」
「泣き虫」
「泣き虫でもいいです」

「クロさんが無事でよかったッ」

ギュッと抱きつく。
クロさんにとっては迷惑かもしれない。
けれど、生きていた事が本当に嬉しかったから。

「何、えらく積極的だな」
「茶化さないでください」
「離れないと、襲うぞ」
「・・・・いいです。クロさんになら」
「その言葉、あとで後悔するからな」

ズッと鼻を啜って、顔を上げる。
綺麗なクロさんの顔が目の前にある。
そのまま、どちらからともなく唇を重ねた。












「で、どうだった?」
「?何がですか?」
「お前も楽しめたかって」
「楽しめたかって・・・・・・・・・・もしかして」
「ちゃんと約束通り、お前も楽しませただろ?」
「ク、クロさんッ!!!」

真っ赤になって叫ぶ私に、クロさんはケラケラと笑った。
アレクさんも共犯者だったと知ったのは、それから数日経ってからのことだった。
























メモ

クロさん好きですー!
けど、難しいなぁ;

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