きくて、さな悩み





「乱菊さんは、どうしてそんなに胸が大きいんですかぁ?」
「なによ、いきなり」
「だって・・」

お酒を飲みながら本日のお相手、乱菊さんに普段から思っていた疑問をぶつけた。

「だって何よ?」

グビッとお酒を飲み干す。

「はは〜ん、さてはいい人でもできたかぁ?」
「うわッ!乱菊さん、重いぃ〜」

後ろから体重をかけられ、身動きがとれなくなる。

「悩んでないで、早く告白しちゃいなさいよ〜」
「玉砕しろってことですか!?」
「何もそこまで言ってないでしょう」

スッと私から離れ、お酒に手を伸ばす。

「で、最初の質問と、あんたの想い人は誰なわけ?」
「・・・・・恋次くん」
「ふ〜ん、恋次ねぇ」
「な、なんですか?」

ニヤリと視線を向けられ、たじろいでしまう。

「何もないわよ。で、胸はでかい方がいいって恋次が言ったの?」

ストレートな質問に、飲みかけのお酒を噴出してしまった。

「ちょっと、汚いわねぇ」
「ご、ごめんなさい。・・・別に恋次くんに言われた訳じゃないです。ただ自分がそう思っただけです」

自分の胸を見て、はぁと溜息をつく。
乱菊さんまでとはいかなくても、もう少しあったらなぁと改めて思った。
急にシュンとしてしまった私に、乱菊さんは溜息をつき、

「胸で悩む前に、まずは告白でしょう?」

もっともな言葉に、顔を上げる。

「フラれたら、なぐさめてあげるから」
「・・・・はい」
「いってこ〜い!」

ポンと背中を押され、私は乱菊さんの部屋を後にした。






「れ、恋次くん、いる?」

今日は非番だと聞き、そのまま恋次の部屋に来た。

「ん?じゃねぇか。なんだ?」
「あ、あの・・ちょっと話が」
「話?なんだ?」

じぃっと見られ、顔が赤くなる。

「あ、あのね、その・・・私、恋次くんの事が・・」

『好き』ただその一言を言うだけなのに。
なかなか好きだと言えない。
深呼吸をして、言おうと口を開いた時だった。

「好きだ」

言えなかった言葉が、上からふってきた。

「え、へ?・・・す、好きって?」

目をパチクリさせながら、恋次を見る。

「お前、その・・こ、告白しに来たんじゃねぇのかよ」
「そ、そうだけど・・・な、なんで?好きって?」

驚いたまま恋次に尋ねると、頭を掻きながら、

「女に告白されて、はいそうですって頷けるかよ」

照れながら、そう返ってきた。

「じゃ、私たちって・・・両思い?」

恐る恐る聞いてみる。

「あ、まぁ、そういう事になるな」

珍しい恋次の照れた顔。
初めてみた赤い顔に、私はクスリと笑った。

「あ、そうだ。恋次くんに聞きたい事があるんだけど・・・」

喜びと同時に、思い出したくない事まで思い出してしまった。

「なんだ?」
「あ、のね、やっぱり胸は大きい方がいい?」
「はぁ?!」

これでもかってくらい、呆れ声が返ってくる。

「お前、真剣に聞いたのに、内容がそれかよ」
「だ、だってっ!私は、乱菊さんみたいに大きくないし・・・」
「あの人は別だろうが。ンな事でいちいち悩むなよ」

苦笑いしながら、恋次が頭を撫でてくれる。

「大体、俺は体目当てとかでお前の事好きになったんじゃねぇからな」

ニカッと得意げに笑ってみせる。
その言葉に、心底安心した。

「よかった」
「それに」

そっと恋次が耳に何かを囁く。

「ばッ、ばか!」

真っ赤になった私を見て、恋次は声を上げて笑った。















「胸なら俺が大きくしてやるよ」





















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