05.今日は離れてやらない







コレ・ヒドルとの闘いが過ぎて、3日が経った。






「・・・・・あの、岩瀬さん」
「どうした」

背後からにっこりと笑みを向けられる。
私が目を覚ましてからずーーっとこの調子。

「えっと、朝からずっとこの体勢ですよね」

あの闘いで私は肋骨骨折、両手、両足の殺傷・打撲が数箇所。
頭には見事に包帯が巻かれている。
どこもかしこも痛くて、包帯だらけ。


「はい、なんですか?」
「痛い所はないか?」
「痛いと言えば、いろんな所が痛いです」

そう言うと返事の代わりに、頭にキスがひとつ。
抱きしめられていた腕が緩められ、ゆったりと背を撫でる。

「岩瀬さん?」
「・・・・・・・・・・・あまり心配させないでくれ」

低い、苦しそうな声が耳に届く。
振り向こうとするけど、背中に顔を埋められていて上手く振り向けない。

「ごめんなさい、私鈍くて。また心配かけちゃったんですね」
が謝る事は何もないよ。実際、隊員としてよくやったと思う」

背中から温もりが消えて、正面に彼の顔を捉える。
複雑そうな表情。
私がそう、させているのか。

「隊長を助けて戻ってみれば、はいなかった」
「その時は、治療中でしたよね」







その瞬間の俺の気持ちが分かる?








すぐ近くで囁かれて、俯く。
もし、もしも逆の立場だったら・・・・・・考えるだけで怖くなる。


「心配かけてごめんなさい」

包帯だらけの腕を伸ばして、彼の首に巻きつける。
抱き返してくれる強い腕。

「頼むから、無茶だけはしないでくれ」
「はい、約束します。だから」
「だから?」
「今夜は一緒にいてください」
「今夜も、だろ?」
「はい」
「今日だけは、何があっても離さない」

抱き込まれ、何日ぶりかのキスを交わす。
勿体ないぐらいの愛情に包まれて、今夜私は眠りにつく。















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