何度目かのコール





「じゅ、準太?」
か」
「うん」
「何だ、どうしたんだよ」

何度目かのコールの後、聞きなれた声が聞こえてきた。
だけど、どこか沈んでいる。
理由はただ一つ。

「準太、お疲れ様」
「・・・・・・」

返答はない。
受話器越しに伝わる雰囲気。
悔しさや不甲斐なさ。

「準太は・・・が、頑張ったよ」
「別にいいって、慰めなくても」
「慰めてる訳じゃないよ、だって・・・あんなに頑張ってたじゃん」

「私、ちゃんと見てたもん。一生懸命な準太、誰よりも練習だってしてたじゃん」
「けど、負けたらそこで終わりなんだよ」

ツンと鼻の奥が痛い。
頬に雫が流れるのに、そう時間はかからなかった。

「・・・・準、太」
「え、、泣いてるのか?」
「会いたいよ」

「ご、ごめん、ね・・・だけど、あ、会いたい」
、外」
「え」
「外、出てきて」

そう言って聞こえてきたのは、よく知った音。
私の家の近くの遮断機の音。
部屋を出て、勢いよくドアを開けると、傘を差して立っている。


愛しい相手


だけどいつもの覇気がない。
それに、目元も赤い。


「じゅ、準太!」
っ」

携帯も放り出して、濡れるのも気にならない。
大好きで、会いたかった相手の胸に飛び込む。

「準太っ、お疲れ、様ッ」
、俺・・・・もっと和さんと野球したかった・・・ッ」
「うん」
「皆と甲子園行きたかったッ」
「うん、うん」
「俺の夏、終っちまった・・・っ」
「準、太」

強く強く抱きしめる。
少しでも彼が自分を責めることなく。
少しでも自分を許せるように。

「う・・・っ、ひっく・・・」
「な、んで、が泣くんだよ」
「だ、だって!準太が、努力してたの・・・知ってたのっ」
「あぁ」
「なのに、なのにッ」
「ありがとな、
「うぅっ・・・うわーんッ!」


抱き返す腕が少し震えてて。
頬に落ちる雫が準太の涙だって分って。
余計に悲しくなった。
大声で涙を流すけど、雨の音が私の声を消してくれる。



「準太」
「なに?」
「お疲れ様だけど、明日から来年に向けて頑張って」
「おう、サンキュ」

私が泣き止む頃には雨も止んでいて。
彼の胸から顔を上げると、微かに瞳の潤んでいる準太。
だけど、向けてくれた笑顔がとても明るくて、また一筋涙が零れた。





















メモ

準太、お疲れ様。
また、一からだけど頑張れ!!

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送