羨ましいでしょ?
「暑いねぇ・・・」
「問題ない」
「問題大ありでしょ。之芭の場合」
隣でお茶を飲んでいる姿を横目で見る。
全身布に覆われている姿は、見ているだけで更に暑くなる。
「あー!もう!ちょっと待ってて!」
立ち上がり、傍のタンスから服を見繕う。
取り出したのはサイズの大きいTシャツ。
それとズボン。
「こういう時の為に、買っておいてよかった〜」
「それは」
「これは、之芭が今から着る服だよ」
「は・・・?」
分らないとばかりに首を傾げる。
「之芭のその服ね、見た目が暑いの」
「問題ない」
「私には問題あるの。だからこれ着て?」
「・・・・・・」
私にとっては普通のTシャツ。
けど之芭にしてみたら、ほぼ肌を曝す事になる。
「嫌かもしれないけど、熱中症とかになるよりはマシだと思うし」
「。俺は、」
「はい、それじゃ向こうで着替えてきてね」
「・・・・・・」
強引に手渡し、有無を言わさず着替えさせる。
暫く手の上の布を見ていたが、やがて諦めた様に立ち上がった。
その姿に満足気に頷く。
「」
「着替えられた?・・・わぁ!」
「・・・・なんだ」
「い、いや!何でもないよっ」
普段見慣れない姿に、一瞬ドキリと心臓が音を立てた。
慣れない服に戸惑いを感じているのか、落ち着かない様子の之芭。
「ねぇ、之芭」
「なんだ」
「浦原さんち行かない?」
「浦原さんの?」
「うん!この姿、見せびらかしに」
そう言うとウンザリしたような溜息が返ってきて。
それでもこのカッコいい姿を見せたくて、強引に腕を引っ張っていく。
そんな夏の一日。
メモ
夏にあの姿は、見ててちょっとだけ辛いです・・・
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