未来を見つけて 20








ビーっという音がして、は目が覚めた。

いつもの時間に仕事が終わり、自分の部屋に帰ってきたのが9時頃。
ベッドの上で横になっていたら、いつのまにか眠っていたらしい。

「んん?誰だろう・・・」

ふわぁと欠伸をしながらドアに向かった。
ボタンを押し、はドアを開けた。

「ハイ、、元気?」
「グレイさん?!」

あの事件から、お互い殆ど会っていなかった。
としては、色々迷惑を掛けた事と、支えてくれた事にお礼を言いたかった。

「今いいかな?」
「はい!どうぞ。私も話があるんで」
「それは、楽しみだな」
「グレイさんが期待してるような話じゃないですよ」
「それは残念」

クスクス笑いながら、はグレイを部屋に招いた。
シュッと音がして、ドアが再び閉まった。
























「何か、飲みますか?」
「いや、いいよ」

座るところが無いからと、は、グレイにベッドの上に腰掛けるよう勧めた。


「はい、なんですか?」

ココアをいれていたは、グレイの方を向いた。
グレイは、手招きしながらを呼んだ。
その手招きにつられ、はグレイの傍まで近寄った。
その瞬間、

「きゃッ、グ、グレイさん!?」

グレイはを抱きしめた。
自分は座りながら、立っているをしっかり抱きしめた。

「ど、どうしたんですか?」
「・・・・・・・」
「グレイさん?」

は、戸惑った。
グレイは普段、抱きしめたりしない。
冗談半分で抱きしめたりはよくあることだが、今日みたいなのは、初めてなのだ。
が困惑していると、グレイがくぐもった声で、

が無事でよかった・・・・・」

ポツリと呟いた。
その言葉を聞いたは涙が出そうになった。

「グレイさん」
「あいつと、ジャックと約束したからな。お前を必ず守るって」
「え?・・・ジャックとですか?」
「あぁ」

そう言って、から離れる。
は、グレイの隣に座り、次の言葉を待った。
自分は知らない、ジャックとグレイの約束を。

がストーカーされてる時に、あいつ俺に言ったんだよ。
『もし、俺になにかあったらを頼む』ってな」
「ジャックッ」
「だから、ジャックと俺自身の為にお前を守った」

は、胸がいっぱいになった。
ジャックにこれほどまでに愛されていたとは思わなかった。
こんなに自分の事を想ってくれた人は、もうどこにもいない。
ジャックの想いの深さと、もう会えない辛さにの目からは涙が溢れた。
そんなの頭をグレイは優しく撫でる。

「私ッ、絶対、ジャックの事・・・忘れないッ」
「あぁ、俺もだ」

しゃくり上げながら、は涙を拭った。

「まだ辛い時もあると思う。だけど、は一人じゃないから。俺も、ビリーも、マーティもいる。もちろん石川達も。それを、忘れるなよ」
「はい、ありがとうございますっ」

涙で濡れた瞳で、は微笑んだ。
その微笑には、前のような翳りはもうなかった。

























05/04/28 (06/11/19 加筆修正)



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