未来を見つけて 17








「冬子」
「何?」
「好きだよ」
「・・・・・・バカ」
「大好きだよ、














「ジャックッ」

は、勢いよく飛び起きる。
その顔には涙の後が残っていた。
その後をふき取り、改めて自分がどこに居るのか確認する。

「ここ、私の部屋?」
「そうだよ」
「ビ、ビリーさんッ!?」
「気分は?」
「あ、はい。大丈夫です・・・」

その答えを聞いてビリーはにココアを出した。
が寝ている間に入れたらしい。
一口飲むと混乱した頭や、冷えていた体に染み込んでいく。

「何があったか覚えてる?」
「・・・・はい」
「そう。には悪いけど後で、石川達が来ることになってるから」
「・・・・分かりました」
「マーティも呼ぼうか?」

はコクンと頷いただけで、後は何も喋らなかった。
知られたくなかった。
ずっと黙ってるつもりだった。
なのに・・・・どうしてこんな事になったんだろう。
そればかりがの頭の中をグルグル回っている。

「じゃ、呼んで来るよ」
「はい、お願いします」

シュッと音がしてビリーが出て行った。
は大きく息を吐き出し、その時を待った。




















「隊長」
「具合はどうだ?」
「大丈夫です」

軽く返事をして、または黙る。
部屋には石川、岩瀬、西脇、グレイにビリーがいた。
それから数分後にマーティが到着した。


「マーティッ」
「大丈夫なのか?」
「うん、平気」

が座っているベッドにマーティも腰を下ろした。
少しの沈黙の後、は意を決して話しだした。

「私には昔恋人がいたんです」
「それは、ジャックっていう人か?」
「そうです」

隊長の言葉に頷きながら、返事をする。

「でも、3年前に亡くなりました」
「・・・・・」
「彼は殺されたんです。アークに・・・ッ」

震える声では少しずつ話し始める。
の震えている手をマーティはギュッと握り締める。
が、その後話すのを躊躇っているのか、は中々話さなかった。
見かねたマーティがの代わりに話し出す。

「その頃すでにアークはに纏わりついていたんです」
「ストーカーか」
「ッ・・・!」

西脇が放ったその単語に、はビクッと体を強張らせる。
体を強張らせたの背中を、グレイは優しく撫でる。
落ち着かせるように・・
撫でながら、グレイはゆっくり話し出した。

の事が好きだ、恋人だと書き綴った手紙が頻繁に送られるようになったんだ」
「私達も周りもそれに気づいて、二人にアークを近づかせないようにしたんだ」
「もちろん、ジャックも気づいていたから、をアークの目から遠ざけようとしたんです」

グレイ、ビリー、マーティが順番に答えていく。
それを震えながら黙って聞いている
辛い過去を一生懸命耐えている。
その姿が石川達には痛ましかった。

「でも、それが間違いだったんです」
「アークは恋人を、をジャックに取られたと思ったんだ」
「その矢先、アークは二人が一緒にいるのを見てしまった」

そこで三人は話すのを止め、を見た。
は震える唇で、ゆっくりと話し出した。

「ジャ、ジャックは・・私を、守る為にッ・・・私の代わりにッ」
、分かった」
「あの人はッ」
「もういいよ、

背中を撫でていたグレイの手が、ゆっくりを抱きしめる。

「うッ・・・ひっくッ」
「よく頑張ったな」

グレイの腕の中で、は堪えきれず涙を流した。
それを三人は苦々しい表情で見ていた。



不意に石川が、の名前を呼んだ。

「悪かった、こんな辛い事を・・・」

上手く声が出せず、は首を横に振った。

「取り敢えず、あいつは警察に引き渡した」
「・・・・」
「一先ず大丈夫だ」
「わ・・・・かりました」
「だが念のため、外に出る時はこの中にいる誰かと一緒に出るように」
「はい」
「じゃあ、この話は取り敢えずここまでにしよう」
「そうですね」
「俺達は戻るな。ゆっくり休めよ」
「・・・はい」

シュッと音がして、石川達が出て行った。

、私達も戻るわ」
「あ、はい。ごめんなさい、心配ばっかり掛けて・・」
「気にするな、好きでしてる事なんだから」
は自分の事だけ考えてなさい」
「はい、ありがとうございます」

ビリーとグレイが出て行った。
残るはマーティただ一人。

「マーティはどうするの?」
「私はここにいる」
「そっか、ありがとう」

まだ少し涙の残る顔で、はゆっくり微笑んだ。

























05/02/02 (06/11/19 加筆修正)



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