未来を見つけて 15








「ドクター」
「西脇さん、どうしたんですか?」

ドクターは医務室に殆ど来ない相手を見て、少し驚いた。
理由はすぐに分かった。



案の定、西脇はドクターには、と聞いた。

なら、そこのベッドに」
「ありがとう」

西脇は言われた通り、のいるベッドに向かった。
その後姿を見ながら、ドクターは先程とビリーとの会話を思い出していた。

『言わないでっ!!』

まさかの口からあんな悲痛な叫びを聞くとは思わなかった。
の事をいつも笑顔で明るい女性だ、とドクターは思っていた。
一体、をここまで追い詰めた原因は何なのか、少なからず気になっていた。


「に、西脇さん?」
「大丈夫か?」
「あ、はい。ご心配をお掛けしてすみません」

ベッドの中から、上半身を起し、は頭を下げた。

「別に構わない。で、仕事は出来そうか?」
「はい、大丈夫です」
「そうか、なら昼から頼んだぞ」
「はい」

いつ、理由を聞かれるのかはドキドキしていた。
しかし、予想に反して西脇は仕事の事を聞いてきただけで、何も聞かなかった。
は、少し拍子抜けしたと同時に、安堵のため息をついた。

「いつかは、言わなくちゃ・・・皆に」

小さな小さな呟きは、すぐ近くにいた西脇にも聞こえなかった。

























っ!」
「マーティ」
「もう大丈夫なのか?」

お昼過ぎ、医務室から出たは昼食の為食堂に向かう途中だった。

「うん、平気。ごめんね心配掛けて」
「別に、話聞いた時から嫌な予感はしていたから」
「そっか・・」
「でも、ここはロスじゃない」
「分かってる、大丈夫だから」

そう言いながら、にこっと笑う。

本当は全然大丈夫なんかじゃない。
だけど、いつまでも引きずっているわけにはいかない。
自分にはやるべき事がある。
はそう思いなおし、マーティと共に食堂に向かった。

?!」
「お前、大丈夫なのか?」
「ありがとう。でも、大丈夫だから」

自分を心配してくれる隊員に申し訳ないと思いながらも、は大丈夫とだけ告げた。
いつかは、言わなきゃいけない。
だが、事件は起こってしまった。
が最も恐れていた事が・・・・






















05/1/17 (06/11/19 加筆修正)



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