未来を見つけて 11







「う〜ん・・・重たい・・・っ」

は一人唸りながら、廊下を歩いていた。
手にはというより腕には、大きなダンボール箱。
その中には、大切な資料が入っている。
そんな物を抱えているには、当然ながら前が見えていない。

「はぁ・・・やっぱ一人は無理だったか〜」

よろよろしながら目的地である、コンピューター室に急ぐ。
そして、丁度階段を降りようとした時、

「わっ!!」

足を踏み外し、ぐらりと体が揺れる。
ダンボールが派手な音を立てて、落下していく。
もギュッと目を閉じ、衝撃に耐える。
が、幾ら待っても衝撃は訪れない。
恐る恐るゆっくり目を開けると

「ギリギリセーフってとこだな。大丈夫か?」
「あ、隊長?」

振り向き、助けてくれた人を確認する。

「全く、なんで一人で持って行こうとするんだ?」
「すみません、今誰も手が離せなくて・・・」

隊長に迷惑を掛けたと、シュンとなるに石川は苦笑する。

「別に怒ってる訳じゃない。ただ、無理だと思った時は誰かに頼れ。いいな?」
「はいっ!助けて頂いてありがとうございました」
「今度からは気をつけろよ」

そう言って、の頭を撫でる。
少し驚いただが、すぐにいつもの笑顔になる。
の笑顔につられて石川も笑う。

「それじゃあ、私階段の下片付けますね」
「手伝おうか?」

石川のその言葉に、はにこっと笑い、お願いしますと言った。

「それじゃ、早く済ませよう」
「はいっ」

二人で資料をかき集め、コンピューター室に運んだ。





ほんの少しだけ、二人の距離が縮まった日。




























(06/11/19 加筆修正)


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