未来を見つけて 10







コンピューターウィルスの一件から早1週間。
は、日本で初めての休日に、何をして過ごすかを悩んでいた。

「んー、特に何もすることもないんだけどな・・・」

はしばらく考えた後、電話に手を伸ばし、番号を押した。

『もしもし・・?』

受話器の向こうからは、寝ぼけた声が聞こえてきた。

「やだ、ロウさんってば、まだ寝てたの?」

『まだ、昼じゃねーか。起すなよ

「こんな時間まで寝てるロウさんが悪いんですよ。あッ!ジャンの一件、解決したよ」

『そうか、そりゃあよかったな!お前のプログラムが効いたんだろーよ』

「はい!今日もコンピューターは異常なく働いてますし」

『流石、世界的ハッカーだった親父さんの娘だな』

「何言ってるんですか。ロウさんだって父さんと同じくらいでしょ」

『俺はまだまだだよ。親父さんに比べれば』

「父さんが凄すぎただけですよ」

そう言って苦笑する。

の父親はハッカーだった。
彼に盗めない情報はないとまで言われ、その世界では恐れられていた。
だが、の父親は自分の能力を悪用した事はない。
はそんな父親を尊敬し、誇りに思っている。
そして子供の時に決意した。
父の様になる。と

『ま、お前も頑張れよ。こっちに帰って来る時は連絡いれろよ』

「はーい!ロウさんもあんまり無理しないよーに」

おうと低い声が聞こえ、ガチャンと切る音が聞こえた。
電話を切り、写真立てに目をやる。

「父さん、私頑張ってるよ。向こうで母さんと仲良くしてる?」

返事はなくとも、天国で父と母の笑ってる顔が目に浮かぶ。

「私がそっちに行くまでまだ時間があるから。それまで見守っててね」

軽くキスをし、写真立てを元の場所に置く。

「さーて、買い物でも行こうかなッ」

ジャケットを取り、部屋を出る。
そんな我娘を、写真の中の二人は優しく見守り続ける。



今までも、そしてこれからも

























04/11/22 (06/11/19 加筆修正)



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送