機械でも何でもいい。
一緒に居たい。








芽生えたモノ










「馬鹿だとは思っていましたが、ここまで馬鹿だったとは・・・」

エレンの冷ややかな視線が痛い。

「だけど、私は彼が・・・・!」
「ジェットは僕が作ったジャスパードールです」
「そう、だけど・・・っ」




それは本当のことだ。
エレンが彼を作り上げた時、私もその場にいた。
一番最初にエレン、その後に私。
彼の真紅の瞳にどう映ったのだろうか。




「ジェット」
「なんだ」
が貴方と一緒にいたいそうですよ」
「エレン!」

口角を上げて不敵に笑う姿は、私にとって悪魔にしか見えない。

「どういうことだ」
「どうやら機械の貴方に恋をしたようです。愚かな行為だ」

軽蔑するような目で私を見る。


どうして、ダメなのだろうか。
機械だから?人間じゃないから?


「ジェット、あの」
「恋、とはなんだ。俺のメモリーにそのようなモノはない」
「・・・・」


黙り込んだ私の答えを催促するように名前を呼ぶ。
心地よく響く低い声。

「機械でもなんでもいい。ジェットとずっと一緒にいたいの」
「・・・どういう意味だ」
「これから先、私がおばあちゃんになっても貴方と生きていたい」
「それは、不可能な話だ」
「ジェット・・・」

そう言われるのは分かっていた。

「全く、馬鹿馬鹿しくて付き合っていられませんね」
「エレン!」
「ジェット、行きますよ」
「あぁ」

待ってと言うことも、引き止める事も出来なかった。
ただ俯いて悲しみをやり過ごすだけ。
パタンと閉まるドアをただ聞いているだけ。







「・・・・・・」
「ジェット、どうしたのですか」
「何でもない」
「彼女のことが、のことが気になるのですか?」
「・・・・・いや」















それから数ヶ月後。
彼は一人の少女と出会う。
それがきっかけで、彼に『心』と呼ばれるものが芽生えた。


「・・・ジェット?」
「お前の事を思い出すと胸が苦しくなる。この気持ちはなんだ・・・心なんて機械の俺には不要なはずだ」
「なのに、この胸の奥に感じる熱い気持ち・・・・理解不能だ・・・ッ」
「ジェット!」

勢いよく飛び込んだのに、微動だにせず私の体を抱きとめる。
彼の力強い腕。

「それが、恋なの。人を想う暖かい気持ち」
「これが、恋」
「ジェット、大好き」
「・・・・・っ!」

抱きとめていた腕がピクリと動く。
見上げると見た事もないような不思議な表情を浮かべている。

「ジェット」
「俺は不良品なのか」
「違う!不良品なんかじゃない。人を想うことはとても尊いこと」

その時、初めて。

初めて笑顔を見た。
ぎこちなく笑みを浮かべる彼の姿。

「ジェットだって、笑えるじゃない」
「俺は笑っていたのか」
「うん」

そうかと言って、頬に伸ばされる暖かい指。
いつの間にか溢れていた涙を拭われる。






「ジェット、これから先も私と一緒に生きてくれる?」


「・・・・・お前が望むのなら」


















メモ
あああ、だらだらっとなっちゃった;
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