その夜、電話が掛かってきた。
けれど、私は出なかった。
否、出られなかった。












------------------------------------------待ちぼうけのクリスマス 後編












、大丈夫?」
「うん、大丈夫・・・・・」
「それじゃ、お母さんちょっと出かけてくるけど、何かあったらすぐ連絡しなさいね」
「うん」

気だるい体を起こして、母さんを見送る。
長い時間外にいたのと極めつけの雨。
私の体はどうやら風邪を引いたらしい。

「熱いし、寒い・・・」

腕を摩りながら、布団を肩までかける。
風邪特有の悪寒と軋む体。
熱い瞼を閉じれば、すぐに眠気がやってきて、私はそのまま不快な眠りについた。










「大丈夫か」




「俺が悪かった」




声が、聞こえて重たい瞼を持ち上げる。
一番最初に天井が見えるはずだった。
けれど、視界に入ったのはここにいるはずのない人。
心配そうに眉間に皺を寄せながら、覗き込む瞳と目が合う。

「りょ・・・・へ」

自分でも驚くぐらいの掠れた声。

ッ」
「な・・・で・・・・」
、すまん!」
「りょ・・・・へい」
「俺のせいだ、本当にすまん!」

何のことを謝ってるのか、すぐに分った。

「・・・・ど、して」
「昨日、京子が熱を出してな」

両親が不在だった為、離れる事が出来なかったらしい。
それを聞いて安心一つ、モヤモヤが一つ。

「そ、っか・・・仕方、ない・・・ね」
「だが、そのせいでに風邪を引かせてしまった」
「気に、しな・・で、りょう、へい・・・のせい、じゃ」

にっこり笑みをつくってみるけど。
ちゃんと笑えてる?私。
ううん、きっと笑えてない。
熱となんだかよく分らない気持ちで、頭もぐちゃぐちゃで。

「も・・・いい、から」
、本当に・・・「了平」」

まだ謝ろうとする彼の言葉を遮る。

「いい、から・・・・京・・子ちゃん・・・ところ」

早く帰って傍にいてあげて。そういう意味を込めて告げる。
けれど、彼はベッド脇から動こうとしない。

「りょ、へ・・・・・早、く」
「・・・帰らん」

何言ってるの。
京子ちゃん、一人なんでしょ?
私はいいから、早く帰りなよ。

そう言いたいけれど、上手く喋れない。
するとそれを感じ取ったのか、大丈夫だという答えが返ってきた。

「京子なら、心配するな。さっき両親が帰って来た」

だから、今日はの傍にいる。
ってどっかりと座り込んでしまった。

「・・・・・りょ、へい・・・・」
、本当にすまん」

何度も謝罪を口にして、頭をペコリと下げる。
その姿に、モヤモヤが溶けて流れ出ていく。

「・・・・・心配、したの」
「あぁ」
「ずっと・・・・いつ、来てくれるかなって」

段々目頭が熱くなる。
風邪で鼻が詰まってるのに、更に呼吸がしづらくなる。
ぼやる視界と、頬を伝う涙。

「もしか・・・たら、事故にでも・・・遭ったのかなって」

「心配、したの・・・っ」
「すまん!」

目の前に彼の胸。
きつくきつく抱きしめてくれる腕。
あったかくて、更に涙が零れた。

「二度とにこんな思いはさせない」
「了平・・・」
「約束だ。今度は破ったりしない、絶対にな」
「・・・うん」

差し出された小指に自分の指を絡める。
嬉しくて、にっこり笑うと、照れくさそうに笑みを返してくれる。
その笑みを最後に、私はまた眠りに落ちた。
暖かい温もりを感じながら。






















メモ

第二弾は武くんです。
一応ね、一応だよ!

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