「ねぇ、了平」
「なんだ?」
「クリスマス、空けておいてね」
「おう!任せておけッ」

張り切ってそう言ってくれるから、安心してたのに。











--------------------------------------------待ちぼうけのクリスマス 前編















「来ない」

コチコチと時計の針が夜の7時をさした。
辺りには楽しそうなカップルばかりで。
一人ポツンと立っているのが、すごく情けなく思えてきた。

「どうしたんだろう、もう一時間も経つのに」



何かあったのかな。


事故にでもあってなきゃいいけど。


それより、また喧嘩吹っ掛けられてるとか?



そんなよくない感情ばかりが先走る。
クリスマスのイルミネーションで街はとても明るいのに。
私の心は暗いまま。

「あと、30分!30分待って来なかったら帰ろう」

そう言い聞かせて、30分に望みをかける。





10分



15分



20分




「どうしちゃったの・・・了平」

時計の針は7時半をさそうとしている。
小さく呟いた声には少の焦りと不安。



もしかして、すっぽかされた?
ううん、了平に限ってそんな事ないハズ!



行き交う人の中で彼の姿を探す。
きっと今にすまん!って言って駆け寄って来てくれる。
そうして淡い期待を抱きながら、気がつけば二時間近く立ち尽くしていた。
指先が悴んで痛い。耳も感覚がない。



「・・・・・もう、帰ろう」



クリスマスの華やかな音楽と光の中、私は漸く動き出した。
歩きながら、ゆっくりと徐々に早く私の全身を濡らすもの。
前髪から滴る雫を乱暴に拭って、淡い期待すら見事に砕かれた心を抱きながら。







時刻は午後8時を回っていた。





















メモ

クリスマス第一弾は了平さん
そして、続きます。
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