高校生の特権




「あーおーきーくんッ!」
「・・・・その声は、だろ」
「あったり〜!」

目隠しをしていた手を離す。
手を離し様、青木と目が合う。
にこりと笑えば、笑顔が返ってくる。

「調子はどう?」
「うーん、まぁまぁかな」

謙虚に答える辺り、青木は昔から変わっていない。
実際、それなりに手ごたえは感じているのだろう。
充実した顔つきで分かる。

「地区予選突破も目の前だね」
「ったく、簡単に言ってくれるな、は」
「え〜、青木くん人一倍努力してるんだもん!きっと大丈夫だよ」

力説すると、分かった分かったと落ち着かされる。
昔から暴走したを止めるのは、青木の役目だった。
それは、高校生になった今でも変わらない。

「大丈夫、か」
「?どうしたの?」
「いや、なんでもない。それより今日も残るのか?」

少し怪訝そうな顔で、に話しかける。
一緒に帰りたいが為に、はサッカー部の練習が終わるまでグラウンドで青木の姿を見ている。
これはこれで楽しいからにとっては、苦痛でもなんでもないのだが。
青木にとっては、それが問題で。

「うん、もちろんそのつもりだけど?」
「けど、そろそろ風も冷たくなってきたし、風邪引くぞ」
「大丈夫って言っても納得してくれない?」

少し伺うように、青木の顔を覗き込む。
その幼げな表情に青木の胸が音を立てる。

「彼氏として、彼女を外で待たす訳にはいかないだろう」
「じゃ、教室で待ってる。それならいい?」

こんな風になった時、決まって最後は、

「・・・・分かった、けど無茶はすんなよ?」
「うん!ありがとう」
「じゃ、練習行ってくるわ」
「うん、今日も頑張ってね」

ブンブンと音が鳴りそうなくらい手を振る。
苦笑して、手を振り返すと嬉しそうな笑顔。
その笑顔が青木のエネルギーだと、はまだ分かっていない。




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