(同じ気持ちだから)


















「エーカー中尉」

昼食の後、私は上司を呼び出した。
大事な話があると言って。
ある一つの決意と共に。

、話とは?」
「・・・・・・・・・・あの」

緊張で声が出ない。

「・・・・好、きです」
?」
「中尉が、好きです」

言った後に押し寄せる後悔。
だって、すごく困った顔をしてたから。

「も、申し訳ありません!」

勢いよく頭を下げる。
徐々に少しずつ視界がぼやける。
けど、泣いちゃだめだ。

「中尉を困らせるつもりはなかったんです」
「私は困ってなどいないが・・・」
「それでも!とにかくすみませんでしたっ・・・では、失礼します」
「おい、!」

制止を振り切って部屋を出る。
零れる涙を抑える事ができなくて、走りながら私は泣いた。

翌日、泣きはらした瞳で決意を持って中尉に会いに行く。
本当は会いたくないけれど、このままではいられない。
だから、告白の前に決意をしたのだ。

「失礼致します」
「・・・

気まずい雰囲気が漂う。
そうしたのは私自身。
自業自得だと心で告げると、机の上に一枚の紙を置いた。

「サインを、お願いします」
「何だこれは」

怪訝そうな顔が私を見る。

「軍を辞めます」
「理由は」
「・・・・・・・」
「理由も言えないのか」

冷たいような言葉にグッと声が詰まる。

「理由は、中尉がご存知だと思います」
「私が?」
「・・・・気まずいでしょう?私が居たら」

昨日も泣いたのに、泣きつくしたと思ってたのに。
また溢れる涙。
今度はもう止めない。
貴方への思いは、ここで全て流していきます。

「・・・そう言えば、まだ答えを言ってなかったか」
「聞かなくても、分かってます」
「ほぅ、なら聞かせてもらいたいものだな」

なんて人。
実らない恋を本人の前で聞かせろだなんて。

「中尉は!私の気持ちには応えてくれないのでしょう?!だったら、そんな言い方しないでください!」
「誰も応えないとは言ってない」
「何を、言ってるんですか・・・」
「君が勝手に早とちりをして、部屋を出て行ったのだろう?答えも聞かずに」
「エ、エーカー中尉・・・」

嬉しそうに楽しそうに笑う笑みに、一歩一歩後ずさりしてしまう。
期待してしまう自分が嫌だ。
けれど、胸の高鳴りは止みそうにない。
それどころか、ますます早くなっていく。

「愛している」
「・・・・・・・中、尉」
「君の事を、愛しているよ。

一番聞きたかった言葉が、告げられる。
嬉しさと、信じがたい事実に赤い瞳が更に赤く染まる。


「エーカー、中尉ッ!」

ぎゅうっと彼にしがみ付く。
小さく嗚咽を漏らしながらも、離さないときつく抱きしめる。
そして抱き返してくれる優しい腕。

「これは、見なかった事にしておこう」
「・・・・・・はい」

ひらりと机の上から紙を持ち上げる。
ずっと鼻をすすりながら、一つ頷く。
嬉しそうな笑顔に、壊れた涙腺は雫を零すだけ。

「もう、泣くな。兎になるぞ」
「はい・・・」

ごしごしと袖で涙を拭い、見上げる。
そこには、愛しい愛しい笑顔。
大好きな人の笑顔。
その笑顔に、私の頬は緩んでいくのです。





















喜怒哀楽シリーズ
第一弾は、喜びです。

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