#8
公園デートから数時間後、私は彼と部屋に戻っていた。
「今日の晩御飯は何にしよっかな」
ソファに座ってパラパラと雑誌をめくる。
特に何かをするわけでもなく、窓辺に佇む彼。
何かを考えているようにも見える表情。
・・・さっきのは見間違いじゃないよね。
はじめてみたジェットの笑顔。
嬉しかった。
見たかったものが、やっと見れた。
「ねぇ、ジェット」
「なんだ」
外を見ていた顔がこちらを向く。
「晩御飯何にしよっか」
「・・・・」
考え込んでいるのか、無視されているのか分からない。
「俺を気遣う必要はないと、何度も言っているが」
「そう言われても・・・一緒に住んでるんだし」
「・・・・お前の好きにすればいい。俺はそれに従う」
あ〜、晩御飯んだけでこんな言葉。
場違いな返答に笑いがこみ上げる。
「あははッ、そんなに・・・畏まらなくて、も、あはッ」
こうやって笑って、喋って、ご飯を食べる日が・・・・あと何日続くのかな。
別れの事を思うと、言い表せないような不安と寂しさが胸を占めた。
今まではなかった感情。
笑い声も消えた室内に、私の不安げな声が響く。
「・・・・・ジェットはさ、いつ戻るの?」
長い沈黙。
「分からない」
「そう、なの?」
「俺がここに来た時、時空の裂け目に巻き込まれた」
おっと、またややこしい話になりそう。
「時空の裂け目・・・?」
「同じ現象もしくは似たような状態を作らなければ、戻るのは不可能だ」
「そっか」
暫くは帰らない事に、喜ぶ私がいる。
・・・・ダメだな、こんなんじゃ。
いつか帰る人なんだから。
これ以上のめり込まないようにしなくちゃ・・・
辛くなるのは・・・私だ。
「」
「どうしたの?」
「外を見てみろ」
促されて、外を見る。
「わぁ、キレイっ」
夕焼けだ。
雲間から覗くオレンジの光。
神秘的でとてもキレイ。
「ありがとう、ジェットが言ってくれなきゃ気付かなかったよ」
この家に来た時には考えられなかった彼の行動。
無口だし、無表情だから分かりにくいけど、本当はすごく優しい。
さっき決めたばかりなのに、もう気持ちが揺らぐ。
「ご飯作るね」
「了解した」
やがて日が落ちて、夜になって・・・
二人でご飯を食べた。
美味しかったな、ムニエル。
メモ
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