#5
「此処はどこだ」
気がつけば知らない部屋。
見たことのある物もあれば、知らない物もある。
ここは、どこだ。
「現在地を特定・・・・・エラーだと?」
「再度検索・・・・・・やはりエラーか」
現在地を推測しても、返ってくるのは無機質なエラー音だけ。
「ここは・・・アルカディアではないのか」
推測から論理立てて考えようとした瞬間。
「あのー、どちら様ですか?」
女の声が聞こえた。
見た事もない女。女王の卵とも違う。
*
「と言うことで、これからは私の言う事聞いてね」
この俺に言う事を聞けと言う。
厄介な女だと思った。
だが、女の意見は正論。主なき今頼れるのは己の判断のみ。
「特例だが・・・・了解した」
この瞬間から、目の前の女。
は一時的に俺の主となった。
「しんどくないの?」
俺が戦う為の存在だと告げると、こう問い掛けてきた。
意味が分からない。
戦う為の存在を何故気遣う。
・・・・・やはり理解不能だ。
*
「ありがとう」
は何度もこの言葉を俺に言う。
俺が何かした時、必ず礼を言う。
機械の俺には不要だと告げたにも関わらず。
どうして、俺を人と同じように扱う。
「私にとっては大切なことだから」
そう言った女の微笑みが、何故か消えない。
違う。消す事ができない。
不必要な情報だというのに・・・・・何故だ。
あの女と同様、は俺を人として扱う。
消す事の出来ないメモリー。全てが女王の卵と重なる。
・・・・・・いや、もしかしたら。
*
あの女、と暮して三日目。
「ん〜、どれがいいかなぁ」
難しい顔をしながら、俺の服を選びだした。
無意味な行動が多すぎる。
「ダメ、必要なの」
主からそう言われれば、俺に言う事はない。
主の命に従うことこそ俺の存在意義だからだ。
「ねぇ、聞いてる?」
何故俺に意見を求める。
女王の卵と出会ってから、俺はおかしい。
オリジナルの言う『心』
感情など、俺には不必要なものだ。
それなのに、この女は俺にそれを求める。
「そっか、でもその内分かるよ」
本当に理解できる日が来るのだろうか。
俺はそれをどう受け止めればいい。
そうなる時は、俺が俺でなくなる時。
俺の存在が不必要になる時。
だが、それでも・・・・
メモ
不完全燃焼ちっくでごめんなさい!
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