#4







「さてと、ちょっと買い物に行ってくるね」
「了解した」
「・・・・ジェット」
「なんだ」
「ジェットも来る?」









「ん〜、どれがいいかなぁ」

身長が合わないからちょっと合わせにくいけど、彼の体に服を合わせる。
悔しい程、どれも似合って。
ちょっと困る。

「・・・・・
「何?」
「何をしている」
「何って、ジェットの服選びだけど?」

どうしてこういう状態に陥っているのか分からないのだろう。
されるがまま棒立ち状態の彼。
とうとう口を挟んできた。

「何故俺の服を選ぶ必要がある」
「だって、ずっとあの格好のままってわけにもいかないでしょ?」
「必要ない」
「だめ、必要なの」
「・・・・・・」

あのロングコートは脱いできてもらった。
さすがにあのコートは目立ちすぎる。
それでなくても、身長で既に目立ってるのに。

「よし、これだけあれば十分かな」
「・・・・・」

会計を済ませて、給料日後だったことに安心する。
暫くは自由に出来るお金あんまりないけど。
まぁ、これはこれで楽しかったから、良しとしましょう!

「ついでに私の服もみよーっと」
「・・・・・」

特に何か答えるわけでもなく、私の後ろをついてきてくれる。
なんか、大きな子供みたい。
彼には見えないだろうけど、クスリと小さく笑う。






「ねぇ、ジェット、これと、こっちどっちがいい?」
「・・・・・」
「ちょっと、聞いてる?」
「聞いている。だが、何故俺に聞く」
「何故って言われても・・・・・隣に居るから?」

そんな事を聞かれたことがないから、返答に困ってしまう。
友達と買い物に来れば、こんな会話当たり前だし。
誰かに同意を求めたいから、尋ねてるだけなんだけど。

「無防備だな。傍にいればお前は誰にでも問い掛けるのか」
「いや、それはないよ!知ってる人だけ、友達とか」
「・・・・・」
「ジェット?」
「肌の色からお前に合う色を推測する。赤20%、黒10%・・・「ススストップ!」
「なんだ」

いきなり始まった解析に慌てて待ったをかける。

「論理はいいから、ジェットはどっちが似合うと思う」
「分からない」

即答に近い答えに、がっくりと項垂れる。
別に期待していたわけじゃないけど、こうもはっきり言われるとちょっとヘコむ。

「はぁ、そうだよね。じゃ、論理的にはどっちが似合うって?」
「こちらだ」
「こっちね・・・・よし!じゃこれにする。ありがとう」
「・・・・・・」
「まだ、慣れないって顔だね」
「当然だ。機械を人間のように扱うなど、理解できない」
「そっか、でもきっとその内分かるよ」
「・・・・・」

返答を返さない相手に、苦笑いする。
きっと今彼の頭の中ではいろんな処理が行われいるのだろう。

「ジェット、お願いがあるんだけど」
「それは命令か」
「命令・・・とはちょっと違うんだけど」
「・・・・・・」
「この荷物持ってもらってもいい?」
「・・・・了解した」

少しずつでもいい。
彼に「ありがとう」と言われることの喜びを感じてほしい。
少しでもいい。
自分で考えて、動く事を覚えてほしい。

それは機械としてじゃなく、人として。
人としての心を持ってほしい。




彼が私の家にいる間に、少しでも笑顔を見せてくれますように。





















メモ
さすがにあの姿で出歩くのはちょっと・・・
色々捏造中ですが、気にしないでくださいませ。
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