#2
「という事で、これからは私の言う事聞いてね」
「なぜだ」
「何故って・・・ここは私の家なの。貴方は私の家で寝泊りする、この意味分かる?」
「・・・・・」
「別に外まで私の言う事聞けとは言わないけど、この家の中では私が一番偉いんだから」
一体今までどんな生き方してきたのか知らないけど、この家の中では私に従ってもらわないと。
ただでご飯食べれると思ったら大間違いだから。
ちゃーんと家事とか手伝ってもらわないと。
「ジェット?」
「異例だが・・・・了解した。システムプログラムを書き換え。これより俺の主はとする」
「ちょ、ちょっと、システム書き換えってどいうこと?」
パソコンを持ってる様子もないのに、この言葉。
怪しいというよりも、おかしい。
「俺はジャスパードール。人に似せて造られた機械だ」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
「・・・・・・・」
「いやいや、嘘でしょ!じゃないとそんなあの映画みたいなのがいるわけないじゃん」
「事実だ」
『人に似せて造られた機械』
驚きが半分とだからねという納得が半分。
だから、主の命令とかになるんだ。
どうりで眉一つ動かないわけだ。
「機械ねぇ・・・言われないと無口すぎる男で終わりそうなのに」
「・・・・・」
「ねぇ、貴方はどこから来たの?」
「アルカディア」
「アルカディア・・・まるでファンタジーの世界ね」
キレイな言葉を口にすると、なんとなく彼がファンタジーの世界の人間のような気がしてくる。
服だって日本じゃ絶対に売ってなさそうだもん。
「ここはどこだ」
「ここは日本」
「にほん」
「字はこの字ね」
広告の裏にペンで字面を見せる。
それを見つめる彼の表情は相変わらず変わらない。
「私達は地球という丸い球体の中で暮してるの。その一部がここ日本」
「球体の中で・・・だと?」
少しだけ眉が動く。
怪訝そうと言った方がいいのか、難しい顔をしている。
「今の時代も高度な技術をもっているけど、貴方のいた場所も相当すごかったのね」
「どういう意味だ」
「だって、ジェットが造れちゃうんだもん。すごいとしか言いようがないよ」
「俺は対タナトスように造られた機械だ」
「ちょ、ちょっと、タナトスって何?」
「時空の亀裂から送りこまれるエレボスの影だ」
「・・・・・・・・・ごめん、ちょっと分かんない」
聞きなれない横文字の羅列。
それに頭がついていかない。
だが、ファンタジーの住人なんだと思うと、それも当然かとも思えてくる。
「取り合えず、ジェットはタナトスってのと戦うためにいるのね」
「そうだ」
「大変だね」
「それが俺の任務だ」
「しんどくないの?」
素朴な疑問。
戦うために造られたとしても、ずっと戦いっぱなしじゃ辛くないのか。
いくら機械だとしても。
「何故だ。俺はそのために造られた。辛いという感情などない」
「そういう、ものなのか」
「、おかしな女だ」
いきなり、突拍子もなく名前を呼ばれて、ビックリする。
しかも下の名前。
久しく男の人から呼ばれてないから、ちょっとドギマギする。
「おかしくないよ。当たり前の事じゃない」
そう言うと理解できないという顔が浮かぶ。
・・・・・・案外分かりやすいかもしれない。
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