Gavotte







「黒崎くん、帰ろ」
「おう、んじゃ行くか」

見上げて、挨拶をするのもいつもの事。
ちょーっと、首が痛いななんて思いもヘッチャラ。


だって、黒崎くんが好きだから。


こんなのヘでもない!って思えるくらい好き。
他の人だと、あまり長く話せない。
すぐに首が痛くなるから。

「相変わらず、は小さいな」
「・・・・・私に喧嘩売ってるの?」
「可愛いって、そう言ってるんだろ」
「えー、嘘っぽーい」

いつもの帰り道を並んで歩く。
身長が違うと歩幅も違う。
けど、いつも並んで歩く。
それは、黒崎くんが歩調を合わせてくれるから。

「黒崎くん、ありがとう」
「あ、何が?」

キョトンとした顔で、私を見る。
その顔がなんだか可笑しくて、小さく笑う。

「なんだよ、人の顔見て笑いやがって」
「なんでもないもーん」
「そうかよ。・・・・・つーかさ」

いつも少しだけ寄り道する公園。
黒崎くんの家からも、私の家からも近い。
いつもの様に、ベンチに二人で座る。

「ん?何?」
「その、『黒崎くん』っての、やめねぇ?」

気まずそうに、ポリポリと頭を掻く姿が目に入る。
私も気になっていた問題。
けど、結局『黒崎くん』止まりで今に至る。

「やっぱり名前の方がいい?」
「まぁ、な。が嫌なら別にいいけどよ」
「んじゃ、これからは『一護』って呼ぶね」
「お、おう」

あからさまに照れる、一護。
だけど、私も妙に気恥ずかしくて。
エヘヘと愛想笑いを浮かべる。

「さーってと、帰るか」
「うん、そうだね。あッ!」
「なんだよ。どうした?」
「一護、もうすぐ誕生日だね」

笑みを浮かべてそう告げれば、驚いた顔が返ってくる。

「そういや、そうだったな」
「そうだったなって・・・忘れないでよ」
「悪い悪い」
「私にとっても大切な日なんだからね?」

また驚いた顔をして、嬉しそうに笑う。

「サンキュ」
「プレゼント、何がいいか考えといてね?」
「あー・・・そうだなぁ」

ザアっと夏の風が吹き抜ける。
むっとした風に思わず顔を顰める。

「プッ、お前すんごい顔になってっぞ」
「だって、ベタベタするんだもん」
「夏だしな」
「夏かぁ」

他愛のない話をして、家までの道のりを歩く。
まず私を家まで送って、一護は帰る。

「もう家か・・・それじゃ、一護また明日ね」
「おう。あ、
「何・・・っ」

どうしたのと続くはずだった言葉は、一護の唇にかき消された。

「一護ー!」
「悪い、したくなった」
「発情期みたいな言い方しないでよ」
「発情期ってなぁ・・・けど、諦めろ。俺も男だ」
「知ってる」
「ならいいだろ。お前の事が、好きで仕方ねぇんだから」
「・・・・・・・・・・それは知らなかった」

夏の暑さとは違う、熱。
プウっと膨らませた頬に、一護はまた笑った。
そうやって笑ってくれるのが、嬉しくて。
お返しにと、頬に軽く唇を当てると。
目を丸くした一護が目に入った。










(一護誕生企画様に提出/公開終了)


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