Fur Elise




「おかえりなさい」
「あぁ、ライズとリサは」
「帰ってくるの遅いから、寝ちゃったわよ」
「そうか」

先の戦争が終わって、漸く平和になったと思ったのに。
新しい火種は、私たちをまた戦火へと誘う。

「お疲れね」
「ったく、頭の堅い連中ばかりだ。時間がないって言うのに」

リビングで文句を呟きながら、コートを脱ぐ。
バサリと乱雑に置かれるコート。

「・・・・私も復帰しようかな」
「はぁ!?」

目を丸くしたイザークが、勢いよく私を見る。

「貴様、本気か」
「冗談に決まってるじゃない。ライズとリサを残せるわけないでしょ」
「お前なら本気で復帰しそうだ」
「そんな暇ないわよ。それにこの家を守らないと」

イザークが仕事で頑張ってる間、私は子供達とこの家を守らなければいけない。
安心して、帰ってこられるように。
せめてこの場所だけでも、イザークにとって安心できる場所でありたいから。



「ママ〜」
「あらあら、リサ起きちゃったの?」
「うーん・・あ・・・・パパッ」

キレイな銀色の髪を揺らしながら、イザークの傍に駆け寄る。

「おかえりなさいッ」
「ただいま」

言いながら、足元の我が子を抱き上げる。

「ママぁ、ボクも」
「ま、ライズまで起きちゃったの?」

話し声と、リサがいない事に目を覚ましたのだろう。
抱き上げてとばかりに、手を差し出される。
その姿に、苦笑して抱き上げる。

「ライズはパパとそっくりね」
「本当?」
「本当よ。短気じゃないところは似てないけどね」
「貴様、余計な事を言うな」
「パパは、タンキなの?」

自慢の娘にそう尋ねられ、少々困り顔のイザーク。
その姿が可笑しくて、クスクスと声を漏らす。
瞬間、ギロリとイザークに睨まれる。

「パパ、パパッ」
「なんだ、ライズ」

眼光を弱めて息子を見る瞳は、父親のもので。
成長したなぁなんて、他人事の様に関心する。

「ボクねぇ、大きくなったらママとケッコンするのッ」
「なッ!」
「じゃ、リサはパパとケッコンするッ」
「まぁ」

いいでしょとリサがイザークを見上げる。
驚いた様な顔から、一瞬にして優しい笑みに変わる。

「あぁ、いいぞ」
「やったぁっ」
「じゃ、ママはライズとね」
「うんッ!」

楽しそうにはしゃぐ子供達。
チラリとイザークを見ると、パチッと目が合って。
笑い声が漏れた。












メモ
新婚さん夢。如何でしょう?



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