三 日 月







「・・・・・ん」
「目が覚めましたか」

ゆっくり瞳を開けると、白い天井。
ベッドの隣にはあの青年。

「僕は、未だに藍染様の言葉が信用できません」

それは私だって同じだよ。

「貴女は本当に言霊を操れるのですか?」

キツイ口調で問われても、私には返答できない。
力なく項垂れて首を横に振るだけ。

『ごめんなさい』
「それは、何に対しての謝罪ですか」
『色々とごめんなさい』
「・・・・・」

何故か涙が溢れてきた。
心細い思いもあれば、言霊を操れるなんて言われて。
おまけに、織姫ちゃんもどこにいるのか分からない。
こんな誰もいない場所で私は一体どうしたらいいのだろうか。
言葉もまともに話せないのに。

「どうして泣くのですか」
『寂しいの。ここには誰もいない』

そう告げると、青年の手が不意に伸びてくる。
その動きに身構えると、頭に手が乗せられる。
青年は、何も言わない。

『あの、貴方の名前を教えてください』
「テスラです」









口を動かして、彼の名前を呼ぶ。
少しだけ彼の表情が和らいだ気がした。

「貴女は・・・いや、さん」

驚いた。まさか彼から自分の名前が聞けるとは思わなかったから。

さん、心細いとは思いますが、もう暫く耐えてください」
『いつまで』
「それは・・・」

言いよどむ彼に非はない。
寧ろ、感謝すべきだった。
こんな私を見捨てもせず面倒を見てくれる。
まぁ、そう言われているのかもしれないが。

『分かった』
「貴女が藍染様に反抗しない限り、僕は貴女の敵ではありません」
『本当?』
「はい、藍染様からそう言われております」

例え誰だとしても、私と生きる時空が違う人でも、構わない。
一人じゃないんだ。
安堵感でいっぱいになる。

『テスラ、ありがとう』
「いいえ。では、僕はこれで」

頭から離れていく温かい掌。
誰もいないこの場所で、唯一私に接してくれる人。
彼が何者でも、もう構わない。



























メモ
・・・・彼ってこんなだっけ?
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