確信犯的ボタン付け








掃除や洗濯、料理は出来ても、裁縫は無理みたいです。

、ちょっと」
「陽一お兄ちゃん?どうしたの?」

8月も、もう終わりの日曜日。
リビングでテレビを観ていたら、陽一お兄ちゃんがシャツを持ってきた。

「なぁに?私洗濯当番じゃないよねっ?」

ガバッと振り向き、陽一お兄ちゃんと向き合う。

「そんなに、心配しなくても違うから」

クスクスと笑いながら答えてくれる。

「よかった・・・・それじゃあ、そのシャツはどうしたの?」
「あぁ、ボタンがとれかけててな。悪いんだけど、付けてくれないか?」

少しすまなさそうに陽一お兄ちゃんが、シャツを出す。
それを受けとり、ボタンがとれそうな箇所を探す。

「上から、2つ目のボタン?」
「あぁ、それだ」
「いいよッ、これぐらいならすぐに終わると思うし」
「流石に裁縫はやらなくてな。助かるよ、ありがとう」

笑顔で頭を撫でられる。
私は陽一お兄ちゃんの笑顔が好きだ。
この笑顔の為なら、何でも出来そうな気がする。

「それじゃ、ちょっと待っててね」
「あぁ、そんなに急いでないから。針で指刺すなよ?」
「大丈夫っ!」

数分後、とれかけていたボタンは見事元に戻った。

「はい!陽一お兄ちゃん、出来たよ」
「早いな、もう出来たのか?」
「ボタン付けぐらいなら、数分で出来るよ」

にこっと笑って、シャツを手渡す。

「本当だ、ちゃんと元に戻ってるな」
「お気に召したみたいでよかったよ」
「ありがとな、お礼に今日の晩御飯はの好きなものにしてやるぞ。何がいい?」
「わっ、本当?!それならね〜・・・エビフライがいいなぁ」
「了解、エビフライだな」
「ありがとうっ、陽一お兄ちゃん大好きっ」

あまりの嬉しさに、陽一お兄ちゃんに飛びつく。
その時、庭では、

「エビフライでよっくあそこまで喜べるよなぁ」
「ヨーイチもあれがしたくて、ボタン付け頼んだんじゃねぇの」
「兄貴なら、ボタン付けぐらい自分で出来るだろうからな」
「ものすげぇ、確信犯だな」

なんて広海お兄ちゃんと、珍しく部活も休みで、庭の草むしりをしていた大ちゃんとのやりとりがあったとか・・・



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