青 い 鳥
「和先輩」
「どうした?」
顔を上げると涙を瞳に溜めた彼女がいた。
「」
「私ッ、わたし、和先輩と、もっと・・・い、居たかったですっ」
「あぁ、俺もだよ」
ひっくとしゃくり上げる彼女にはいつもの元気がなくて。
頭を下げて、ポロポロと涙を落とす姿に、胸が痛くなった。
「ごめんな」
「な!なんで、謝るんですかッ!和先輩のせいじゃないのに!誰のせいでもないじゃないですかっ」
遠慮なく涙を流しながら、瞳を吊り上げて怒る。
「を甲子園に連れていってやれなくて、ごめんな」
「そ・・・んなこと、言わないで、ください・・・っ」
首が取れるんじゃないかってぐらい、横に振る。
「か、和先輩」
「なんだ?」
「今まで、ありがとうございました!」
「あぁ、俺もありがとう」
「私、沢山先輩に支えてもらいました」
懸命に涙を拭いながら話す彼女が愛しくて。
手の動きが止まったのを見計らって、手を伸ばす。
「和先輩」
「、ありがとな」
笑顔を向けると、じわりと滲んでくる涙。
枯れない涙に苦笑する。
「私、先輩が好きです・・・っ」
「あぁ、俺も好きだよ」
驚くほどにすんなりと出た言葉に、彼女の涙が止まる。
「か、和先輩。今、なんて・・・」
「が好きだよって」
そう告げた瞬間、目の前から彼女が消えた。
その代わりに、体に触れる暖かい温もり。
それは、俺を抱きしめて離さない。
「和先輩っ、来年は、絶対甲子園・・・きますから!」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
嗚咽を繰り返す彼女の背中を軽く叩く。
胸の中で小さな愛の囁きが聞こえて。
俺は、小さく笑った。
メモ
和さんの涙に感動
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