place in the sun. 5





初めての昼食。初めての車。初めてのデート
初めてだらけで、心臓の音がうるさい。

嬢」
「は、はい!」

つい見とれていたら不意に名前を呼ばれて。
大げさな反応に、怪訝そうに眉を寄せるイザークさん。

「あ、すみません・・・」
「・・・・退屈でしょうが、もう暫く我慢してください」
「そ、そうじゃないんですッ」

自分でも驚く様な大きな声が出た。
目の前のイザークさんも、少し驚いているみたいで。

「あの、緊張して・・・上手く話せなくて・・・すみません」
「謝る必要がどこに?」
「気を遣ってもらうつもりはなかったんです」

真っ直ぐな瞳で私を見るイザークさん。
それが、くすぐったくて恥ずかしくて。
一瞬、イザークさんの前に居るのが、私じゃなくてお姉さまだったら。
そんな事を考えて、臆病になってしまう。
比べても意味がないのに。


ピピピッ


「あ、あの」

高い電子音で通信が入る。

「俺の事は気にせずどうぞ」
「すみません・・・お父様?」

ボタンを押すと、お父様の声が聞こえる。
少し焦っている声。

「・・・・・・・・え?」

一瞬、私の聞き間違いかと思った。
そんな事、あるはずがないと。





お姉さまが、戦闘に巻き込まれて行方不明なんて・・・・・








『とても似合ってますわ』


『それでは、私は行きますわね』





「お・・・・・姉さま、が?」

通信機の向こうでは、お父様が私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
けれど、私は返すことが出来ない。
小さく震え出す肩。
私の体の上に、一瞬影が落ちる。
そして、

「イザーク・ジュールです、クライン議長ですか?」

イザークさんが、私の通信をとって。

「はい、はい・・・・・・分かりました」

二人が話している間、私は何も出来なかった。
ただ、人形の様にその場所に座っているだけ。
お姉さまが、行方不明になっていると言う言葉だけが、私の頭を支配している。

嬢」
「・・・・・・・・」
「クソっ・・・・ッ!」
「ッ!」

パンッと両手を叩いた音と、イザークさんの声にハッと我に返る。

「イザークさん・・・・どうしましょう・・・おね、お姉さまがッ」
「帰るぞ」
「だけど、お姉さまがッ」
「だから、帰るんだろうがッ」

無理矢理席から立たされ、腕を引かれる。
頭が真っ白で、不安で、怖くて。
けれど、私を引っ張ってくれる腕だけが、私を現実に引き止めてくれる。

「乗れ」
「・・・・・」

店を出て、車に乗る。
カタカタと震える体。
お姉さまに何かあったら、どうしよう。

「チッ」

舌打ちと共に、膝に置いた手に暖かいものが触れる。
イザークさんの右手。

「安心しろ、ラクス・クラインは救命ポッドで脱出したそうだ」
「ぇ・・・・?」
「まだ、発見はされていないが、恐らくは無事だ」
「本・・・当?」
「あぁ」

手にぎゅっと力が篭る。
暖かくて、とても安心できる腕。

「着いたぞ」
「私の、家?」
「昼食はまた今度だ。今は家に居ろと伝言だ」
「お父様が」
「あぁ、じゃあな」

私を下ろして、運転席に乗り込む。
何か言わないと。無性にそんな気がして、

「あ、あのッ」
「なんだ」

鋭い瞳が私を射抜く。

「あの・・・ありがとうございます。イザークさんがいなかったら私、一人で震えてるだけでした」
「フン」
「今度は、私の家に来てください。あの・・・私の好きな庭をお見せします」
「・・・考えておいてやる」

一言呟くと、彼の車はスピードを上げて走り去っていった。
素っ気無い一言なのに、何故か嬉しくて。
お姉さまの事もあったばかりなのに、


『大丈夫だ』


彼の一言が、とても心強く思える。

「本当に、ありがとうございます」

彼の車が見えなくなった後、私はペコリと頭を下げた。

























メモ
男前イザーク!
表現出来てるかは、微妙;


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