闇夜
「っ!」
「ッ・・・・!?」
夜中。
私は大ちゃんに起こされた。
否、起こしてくれた。
「ぁ・・大ちゃん・・・?」
「あぁ」
今日は何となく、一人で寝たくなかったから。
何となく、一人でいたくなかったから。
ご飯を食べ終わってから、ずっと大ちゃんと一緒に居た。
私がこんな風になるのは、今日が初めてじゃない。
こうやって、夜中に起こされるのも。
「あ、私・・また・・・ごめん」
「別に。大丈夫か?」
「あ、うん。起こしてくれてありがとう」
力ない笑顔で返す。
この時だけは、どうにも自分がコントロールできない。
何年か前の傷口が開く時だけは。
たとえ、大ちゃんが困ると分かっていても・・・
「寝られるか?」
「分かんない・・・」
力なく呟いた言葉は、静かな夜に吸い込まれていく。
「寝れなくても、寝ろ」
「何それ」
クスッと笑う。
声だけで笑う。
きっと、まだちゃんと笑えていない。
そしたら大ちゃんが、
「わッ!」
私の腕を引っ張って。
「いいから、寝ろ」
丁度ベッドの上に座っていた私は、そのまま倒れこんだ。
大ちゃんの胸に。
トク、トクと、規則正しくなる大ちゃんの心臓。
その音に少し安心する。
「ありがとう、大地」
そのまま、ゆっくり目を閉じる。
抱きしめる腕の力を感じながら。
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