芽生え








「よし!モーター整備はこれぐらいかな?」
「あれ〜?さんじゃないっすか!」

そう言いいながら近づいてきたのは波多野くん。
生意気な新人だって周りから言われてる。
それと同時に注目も半端じゃない。

「モーター整備っすか?」
「うん。もう終わったけどね」

笑顔で話す。

「今日はもう出走しないの?」
「いえ、10Rに」
「そっか、頑張ってね!」
「あ、あの・・・さん」
「はい?なぁに?」
「あ、いいえ!それじゃ失礼します」

慌しく走り去っていく。
それでも礼儀を忘れない波多野くんに思わず苦笑する。

「波多野くん・・・かぁ」

ポツリと呟いて、真っ赤になる。

どうして真っ赤になるのか。
波多野くんがいなくなった後、少し寂しい気持ちになるのか。

答えは10Rが終わってから気づいた。
と、言うか気づかされた。

「私・・・もしかして・・・」
さんっ」

ヘルメットを取りながら波多野くんが来た。
自分の気持ちに気づいた私は、さっきまでの様に普通にできない。

「お、お疲れ様。1着おめでとう。これで優出だね」
「ありがとうございます!」

本当に嬉しそうに笑うから。
その笑顔に私は下を向く。
きっと赤くなってるであろう顔を見られたくないから。

さん?どうかしたんですか?」
「な、何でもないよっ」

顔を上げどうにか答える。
そして、不思議そうな顔の彼を残してその場を離れた。



その後
気づかされた自分の気持ちは、波多野くんによって更に膨れ上がった。

さんっ、好きです!」

一般戦に優勝した波多野くんのコメント。
テレビで見ていた私は開いた口が塞がらず、周りからからかわれる羽目になった。


返事はもちろん・・・・





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