I'm here.
「今日からレース?」
「あぁ、SGに出られるかどうかの大事なレースなんだ」
そう言って、ぐっと拳を握る。
「そっか、頑張ってね!応援、行くから」
「おう!」
元気よく返事をする憲ちゃん。
それにつられて私も笑う。
「、あ、あのな・・・」
「なぁに?」
珍しく、戸惑う憲ちゃん。
言い難いことなのか、「えっと」や「あのな」を繰り返してる。
「何?どうしたの?」
「そ、その、このレースに勝って、SGで優勝したら・・・」
「優勝したら?」
私は首を傾げながら次の言葉を待つ。
「俺と、結婚してくれッ!」
「は・・・・え?何、結婚!?」
いきなりのプロポーズに私は目を丸くする。
憲ちゃんも、顔を真っ赤にして私の返事を待っている。
レースに向かう時のような真剣な眼差し。
「・・・・・ちゃんと想ってくれる?」
「?」
「競艇に夢中でも構わない。デートだって我慢する。だけど、」
「・・・・・」
「いつもじゃなくていい。少しだけでもいいから私の事、ちゃんと想ってくれるなら」
「・・・」
嬉しいという気持ちが今頃になって沸いてきて。
最後の方は涙目になりながら、話した。
そしたら、憲ちゃんは頭をポリポリ掻きながら近づいてきて。
抱きしめてくれた。
「憲ちゃん」
「俺がお前を忘れるなんて事、ありえねぇから」
「本当?」
「あぁ」
優しく頭を撫でながら、力強く答えてくれた。
「うん、ありがとう」
「そ、それじゃあ俺行くなっ」
今頃照れだしたのか、離れドアに向かう憲ちゃん。
「じゃ、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
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