夕陽
「うっ・・・ひっくっ・・・ッ」
「ほら、もう泣くな」
「だっ、だってッ・・・」
陽一お兄ちゃんが渡してくれたティッシュはもうボロボロで。
私の顔もボロボロだけど。
「くやっ、悔しいッ・・・んだもんッ・・・」
「あぁ、分かってるよ」
「あそこでっ・・ミ、ミスしなかったらッ・・・」
「そうだな」
「負けなかったっ・・のにッ」
「」
並んで歩く私の頭を優しく撫でる。
優しさが伝わってくる、優しい手。
「悔しいなら、それをバネにしろ」
「うっ・・・くっ・・・」
「なら出来る」
「よ、陽一お兄ちゃんっ」
「だから、もう泣くな」
「・・・・うん」
ズズッと鼻水を啜って。
グイッと袖で涙を拭って。
ちょっと赤く、腫れた目で前を見据えて。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「どういたしまして。やっぱりは笑ってる方がいいな」
また私の頭を撫でてくれる。
涙で少し潤んだ瞳で、夕陽を見ると、キラキラ輝いて見えた。
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