「さん」
「・・・・・・ニコル」
シュッと音がして、ニコルが入ってくる。
ゆっくりとした動作で、私の隣に座る。
目の前には、薬で眠っているイザーク。
「大丈夫ですか?」
ニコルが顔を覗き込む。
帰ってきたイザークを見て、私はこれ以上ないくらい泣いた。
その目は赤く、はれぼったくなっている。
ディアッカやニコルがいなければ、どうなっていただろう。
「・・・私は大丈夫。だけど」
視線をイザークに移す。
横たわる彼の顔には、痛々しい傷痕。
「さんも、少し休んだらどうですか?」
「ううん、ここにいる。ここに居たいの」
「そうですか」
そう言って、立ち上がるニコル。
「ニコル?」
「イザークの様子をと思ってきたんですが、大丈夫そうですね」
ニコリと笑う。
その笑顔に私もぎこちない笑顔で返す。
「ありがとう」
「いいえ。それでは、お願いしますね」
シュッと音がして、また二人だけになる。
「ぅ・・・・・」
「イザークッ!?」
小さなうめき声と共に、イザークの瞳がゆっくりと開く。
「っ・・・・?」
「イザーク!大丈夫?」
目を開けたイザークにまた涙が溢れてくる。
「バカ・・・なに泣いてるんだ」
いつもの彼とは違う、弱弱しい声。
「も・・驚かさないでよ・・・」
ポロポロと涙が零れ、イザークの顔に落ちていく。
「悪かった・・・・っ」
傷が引きつるのか、一瞬顔を歪める。
「ちゃんと、帰ってきてくれてよかった・・・」
「・・・」
ギュっと抱きつく。
ゆっくりと、抱きしめ返してくれる腕。
「俺は・・・お前だけは必ず守ると約束した」
「イザーク」
「だから、必ず帰ってくる」
「うん」
涙でぐしゃぐしゃの顔を上げ、笑う。
イザークも、安心した様に微笑む。
そして、また眠りはじめた。
それを見て、私もイザークの傍で目を閉じた。
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