帰り道








ダービーが終わった後、
私は憲ちゃんと帰った。
久しぶりに二人で帰る道。
特に話す事もなく、歩きなれた道を歩く。

「憲ちゃん、おめでとう」
「あぁ、ありがとう」

憲ちゃんが嬉しいのと同じくらい、私も嬉しかった。
今まで憲ちゃんが、頑張ってきたのを知ってるから。

「これからが大変だね」
「まぁな、だけど俺は負けるつもりはねぇ」
「うん、憲ちゃんならそういうと思った」

笑って憲ちゃんを見る。
同じように憲ちゃんも笑ってた。


不意に、ポロッと涙が伝った。


「え!!?どうしたんだ?」
「あ、ごめん!何でもないのっ」
「何でもないって・・・」

憲ちゃんが優勝したのが嬉しくて、でもあんまり実感なくて。
そして、隣に歩いているのが嬉しくて。
色々な気持ちが混じって、溢れて、私の心は涙を流した。

?大丈夫か?」

立ち止まり、私を心配する憲ちゃん。
それが嬉しくて、傍に居てくれるのが嬉しくて。
不謹慎にも慌てている憲ちゃんを見て、少し笑う。

?」
「ごめん、大丈夫だよ。ちょっと感激しちゃって」
「感激って、お前」
「さっき優勝した憲ちゃんが、今私の傍に居る。それが嬉しくて」
・・・ありがとう」
「え、憲ちゃん?」

ペコッと私に頭を下げる。

「何?どうしたの、いきなり」
「俺が今まで頑張ってこれたのは、古池さんや皆のお陰だ。
でも、お前がいつも支えてくれたから、俺はここまでこれた」
「憲ちゃん」
「だから、ありがとう」
「そっか、ちゃんと伝わってたんだ」
「あぁ!」

顔を上げた憲ちゃんの顔はちょっと赤くなって。
私の顔も赤くなって。
その後、二人で笑って。

「帰ろっか」
「そうだな」

スッと差し出された手をとって。
私たちは帰った。



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